1998 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス誘導による骨軟部腫瘍治療:ICE遺伝子とチロジンキナーゼの観点より
Project/Area Number |
09671529
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
小宮 節郎 久留米大学, 医学部, 講師 (30178371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
善明 美千久 久留米大学, 医学部, 助手 (10289465)
平岡 弘二 久留米大学, 医学部, 助手 (10268914)
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Keywords | 骨肉腫 / 骨巨細胞腫 / Fas / soluble Fas / アポトーシス |
Research Abstract |
Fas抗原は広範囲の細胞に分布している膜表面抗原であり、TNF-αスーパーファミリーに属し、アポトーシスを誘導する分子である。近年、腫瘍細胞でのFasを介したアポトーシスの研究が盛んである。また、ある種の細胞分化誘導療法の過程でもアポトーシス現象がみられている。 本研究ではin vivo,in vitroの系で骨軟部腫瘍におけるFas抗原の存在を確認するとともにアポトーシスの作用機序について検討した。またビタミンD.Kによる骨肉腫分化誘導過程に伴うアポトーシス発現を検討した。さらに骨代謝に関係する諸薬剤を投与してアポトーシス誘導性を研究した。 実験として骨肉腫細胞株14株と骨巨細胞腫4株、軟骨肉腫1株を用いた。外科切除標本の検索では、TUNEL法で陽性細胞を多数に認め、電顕ではapoptotic bodyを認め、DNA ladderを示した。腫瘍組織中では実際にアポトーシスの現象が起きていることが証明された。培養骨肉腫の9株と骨巨細胞腫4株でFas抗原が検出できた。可溶性Fasの存在も確認できた。蛋白合成阻害剤cyclohexamideの添加で形態、生化学的にアポトーシスを導入することができた。Cyclohexamideがアポトーシス関連細胞内情報伝達機構を促進している可能性があるのではないかと考えた。ビタミンの分化誘導はp21発現に伴って出現し、その後のp21消退に続いてアポトーシスが誘導された。ビスフォスフォネート製剤は破骨細胞腫にアポトーシスを誘導した。 生体内で腫瘍はアポトーシスを起こしており、その機序を高める方法が実際にあることが証明できた。治療への応用性が期待できるものと考える。
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