側方動揺性からみた変形性膝関節症の病態解析と治療法の開発

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09671530
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Fukuoka University
• Principal Investigator: 緒方 公介 福岡大学, 医学部, 教授 (40136437)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 原 道也 福岡大学病院, 助手 (40248513)
• Keywords: 変形性膝関節症 / 加速度 / 関節音 / 膝側方動揺性 / フーリエ変換 / ヒアルロン酸ナトリウム / 足底板

Research Abstract

1.歩行時の膝の前後・上下方向の動揺性は,個々の症例において歩容状態による計測値のばらつきが大きかったものの,躍接地時にみられる前後・上下方向の加速度波形は一定のパターンを呈していた.
2.電気角度計や画像解析を用いた場合も膝の側方変位を捉えることが可能であるが,加速度計を用いた場合は簡便な手順で計測が可能であり、動揺性をより鋭敏に検出していた.
3.加速度解析法と足底圧解析法を用いて、足底板の力学的効果について検討し、足底板療法により除痛効果が得られた有効例の歩行と除痛効果が得られなかった無効例の歩行とを比較し、足底板の影響の差異について検討した。さらに、有効例と無効例の下肢レントゲン所見、および肥満度についても検討を行なった。足底板による外側動揺性の制動効果が大きい例や足底圧重心線の外側移動効果が大きい例では、足底板が非常に有用であることが明らかにされた。しかし、臥位のレントゲン像において、CPAが大きく、MJSの狭小化が認められる症例や肥満の症例では、足底板療法に限界があることが示唆された。
4.変形性膝関節症(OA)に対するヒアルロン酸ナトリウムの臨床効果に関して、種々の薬理学的作用に加えて、潤滑機能を改善させることがあげられている。今回我々は変形性膝関節症患者に対し、膝関節を屈伸する際に発する関節音に着目し、その周波数分析を行うことによりヒアルロン酸ナトリウムの効果を関節音で評価した。末期OA患者114例の症例に対し、ヒアルロン酸ナトリウム2.5mlを関節内注入すると共に、注入前後に膝屈伸時に発する関節音を測定し、高速フーリエ変換して周波数スペクトル分析を行った。結果はヒアルロン酸ナトリウム注入後は注入前に比し有意に低下した。また対照群として1%キシロカイン2mlにステロイド剤を混ぜた薬剤を注入した9例においては、注入前後では有意差は認めなかった。
以上のことよりヒアルロン酸ナトリウム投与は潤滑機能改善効果があることが示された。

Research Products

• [Publications] 緒方 公介,他: "加速度計を用いた膝の歩行時側方動揺性(lateral thrust)の評価法" 関節外科. 16・3. 72-77 (1997)
• [Publications] Ogata,K.,et al.: "Evaluation of Patellar Retinacular Tension Total Knee Arthroplasty. Special Emphasis on Lateral Retinacular Release." J.Arthroplasty. 12・6. 651-656 (1997)
• [Publications] Ogata,K.: "Arthroscopic Technique:Two-Piece Excision of Discoid meniscus" Arthroscopy. 13・5. 666-670 (1997)
• [Publications] 大川 匡、緒方 公介、他: "内側型変形性膝関節症に対する杖療法の効果-加速度計測による評価-" 臨床整形外科. 32・10. 1113-1118 (1997)
• [Publications] Ogata,K.,et al.: "Effect of a wedged-insole on the thrust of osteoarthritic knees.Evaluation with an accelerometer." International Orthopaedics. 21. 308-312 (1997)
• [Publications] Ogata,K.: "Biomechanical considerations of anterior and posterior cruciate ligament reconstruction." 日本整形外科学会雑誌. 71・3. S193 (1997)
• [Publications] 山田昌登嗣、緒方公介、他: "変形性膝関節症の足底板療法における臨床効果因子の検討" 日本整形外科学会誌. 71・4. S752 (1997)
• [Publications] 松浦 一平、緒方 公介、他: "高速フーリエ変換による膝関節音の分析" 第93回西日本整形・災害外科学会抄録集. 78 (1997)
• [Publications] 松浦 一平、緒方 公介、他: "ヒアルロン酸ナトリウム関節内注入が膝関節音に与える影響" 第25回日本リウマチ関節外科学会抄録集. 49 (1997)
• [Publications] Ogata,K.: "Reconstruction of the Knee Joint(The Evolution of Posterior Cruciate Ligament Reconstruction)" Springer Verlag,Tokyo, 414(77-85) (1997)