1998 Fiscal Year Annual Research Report
側方動揺性からみた変形性膝関節症の病態解析と治療法の開発
Project/Area Number |
09671530
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
緒方 公介 福岡大学, 医学部, 教授 (40136437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 道也 福岡大学, 医学部, 助手 (40248513)
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Keywords | 変形性膝関節症 / 加速度 / 足底板 / 膝側方動揺性 / 関節音 / ヒアルロン酸ナトリウム |
Research Abstract |
1. 変形性膝関節症(OA)と半月損傷例に認める関節音の周波数を分析した結果、OA及び半月損傷における関節音の周波数の平均値はそれぞれ426.9±141.1Hz、164.3Hzで、半月損傷例における関節音はOAによる軟骨損傷例に比べ、低い周波数を呈した。また、我々はヒアルロン酸ナトリウム(HA)が潤滑機能を改善させるという効果に着目し、末期OA膝25例に対しHA注入前後の関節音を測定し、周波数分析を行った。その結果、注入前は426.9±141.lHz,注入直後は283.2±86.5Hzであり、有意に周波数の低下を認めた。以上より、HA投与は潤滑機能改善効果があることが示された。 2. 変形性膝関節症に伴う膝側方動揺性を加速度解析法を用いて定量的に評価し同時に足底圧を計測し、足底板の作用機序が、歩行時の足底圧重心線を内側から外方へ移動させることにより膝の内転モーメントを減少させる。その結果、踵接地直後の膝側方動揺性を制動し除痛効果を得ることができた。このためには足底板が十分な補高を全立脚期で行うことが要求され、実験の結果形状としては前後方外側楔形状のみが足底圧重心線の外側移動を認め、かつ十分な補高が荷重時に行える硬度を持たせることが必要であると考えられた。至適足底板は、前後方外側楔および前後方外側楔+内側アーチサポートで沈み込まない硬い素材のものと考えられた。 3. 内側型変形性膝関節症に対する高位脛骨骨切り術(HTO)前後における下肢のX線学的計測および膝関節の側方動揺性について検討した。術後立位での下肢機能軸が外側compartment中央から外側を通る症例に、良好な成績が得られた。また術前では外側への加速度パターンが術後は内側へ変化しており症状も著名に改善していた。
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[Publications] 山田 昌登嗣、 緒方 公介: "変形性膝関節症に対する足底板療法の生体力学的研究" 福岡大学医学紀要. 25 3. 111-124 (1998)
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[Publications] 松浦 一平、 緒方 公介: "高速フーリエ変換による膝関節音の分析" 日本整形外科学会雑誌. 72 8. S1392- (1998)
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[Publications] 金宮 毅、 緒方 公介: "高齢者 (70歳以上) の変形性膝関節症に対する高位脛骨骨切" 日本リウマチ・関節外科学会雑誌. 17 2. 133-138 (1998)
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[Publications] 毛利 正玄、 緒方 公介: "外側楔状足底板の形状の変化が歩行時の膝関節外側動揺性及び足底圧重心に及ぼす影響" 日本整形外科学会雑誌. 72 8. S1490- (1998)
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[Publications] 松浦 一平、 緒方 公介: "ヒアルロン酸ナトリウム関節内注入が関節音に与える影響" 臨床リウマチ 別冊. 10 2. 114-118 (1998)