1998 Fiscal Year Annual Research Report
慢性呼吸不全患者の阻害された横隔膜運動の補助は臨床的に可能か
Project/Area Number |
09671535
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松川 周 東北大学, 医学部附属病院, 助教授 (00108507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀之内 節 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (00229238)
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Keywords | 横隔膜 / 慢性呼吸不全 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、横隔膜運動を超音波エコーにより計測した。斜め胴切り開腹による胃切除、胸腹部動脈瘤人工血管置換術、肺気腫患者の胸腔鏡下肺部分切除を受けた患者を対象とした。前回、横隔膜超音波エコーによる計測と透視装置による横隔膜運動を比較した結果、超音波エコープローベをあてる位置は、右は、鎖骨中線季肋部または鎖骨中線第6肋間、中腋窩線上でなるべく横隔膜を捉えられる範囲で尾側の位置、左も右側同様に中腋窩線上でなるべく横隔膜を捉えられる範囲で尾例の位置とした。その結果、横隔膜切開を行った斜め胴切り開腹による胃切除、胸腹部動脈瘤人工血管置換術での左側横隔膜は、手術直後より1月は運動機能が低下し、術前値まで開腹した症例は殆どいなかった。ただし、1例のみ術直後より横隔膜運動が見られ、その症例では、1週間以内に横隔膜運動は術前値まで回復した。 横隔膜切開が行われていない右側は、術前値よりも活発に運動する場合が多かった。一方、肺気腫患者の胸腔鏡下肺部分切除の場合は、術直後より多呼吸となり横隔膜の吸気時間が70%程度短くなる。これは、患者の回復とともに徐々に改善し、およそ2週間で術前値まで回復する。ただしこれは、術後早期に肺よりの空気の漏出がなくなった場合で、空気の漏出のコントロールが困難な場合は、かえって悪化し、吸気時間が短くなる。 ICUでは持続鎮静が行われる。持続鎮静により横隔膜機能が低下している可能性もある。鎮静下の横隔膜運動を検討するために引き続き健常者にてこの研究を行ってゆくつもりである。
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