1998 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素負荷時の細胞質中およびミトコンドリア中のカルシウム含量の変化
Project/Area Number |
09671548
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
増田 達 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (20173750)
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Keywords | 低酸素 / カルシウム / 活性酸素 / DHA / TTC染色 / 動物行動 |
Research Abstract |
前年度は、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、slice試料の細胞内カルシウム含量の変化を調べるin vitroの実験を行い、確かに低酸素環境に被曝した細胞は、カルシウムの増加を示す事が分かった。 本年度は、invivoの系で、脳の切片の形態学的観察と動物行動を指標として低酸素の傷害を調べた。 また、低酸素負荷時の傷害が、活性酸素の発生に由来するとの見地から、高度不飽和脂肪酸である DHA(ドコサヘキサエン酸)を、活性酸素の受け皿の効果を期待して、負荷直後に静脈投与し、その効果を調べた。 方法は、ddYマウス(35g)を6匹づつ3群に分けアクリル箱に入れて、5%酸素-95%窒素の低酸素ガスを20分間換気し低酸素負荷とした。 その後、負荷動物の一群は、脳を採取し、クレシルバイオレットで染色し形態学的な構造変化を調べ、またミトコンドリア酵素の活性失活を調べるためTTC(トリフェニルテトラゾリウム)染色を施した。 他の負荷後の一群は、行動変化を調べた。 もう一群は、負荷直後にDHAを投与し、その後の行動を調べた。 対照群としては、アクリル箱に入れ、通常の空気を換気したものを用意した。 その結果、低酸素負荷は虚血と異なり、形態的変化をもたらす程の傷害を与えないが、行動に関しては明らかな変化が見られた。 アクリル箱に入れると、動物は先ず探索行動を見せる。 その後、落ち着くのが、正常のマウスの行動であるが、低酸素負荷したものは、記憶傷害のためか、その後も探索行動を見せる。 この差異は、負荷後24時間でも、顕著に見られた。 この行動は、DHA投与群でも抑制は起こらなかった。〈まとめ〉in vivoの系では、低酸素に対して酸素低下の分を血流で補償する脳の保護作用があり、必ずしもin vitroと同様な傷害は起こらない。 しかし、行動に関しては、明らかな変化が見られ、これはDHA投与では抑制されなかった。
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Research Products
(1 results)