1997 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症性ショック時における血管内皮由来弛緩物質の意義に関する研究
Project/Area Number |
09671573
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
中島 幹夫 佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (80159061)
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Keywords | 敗血症性ショック / エンドトキシン / LPS / EDHF / NO / 一酸化窒素 / EDRF / 過分極 |
Research Abstract |
敗血症性ショックは、過剰に放出された一酸化窒素(nitric monoxide;NO)による異常な血管拡張以外にも種々の病態があるものと考えられ、我々は、血管内皮からNO以外に強い血管拡張作用を有する血管内皮依存性過分極因子(endothelium-derived hyperpolarizingfactor;EDHF)がヒトにおいても放出され(Nakashimaet al,1993)、このEDHFが,NOと比較し、臓器血流維持により重要な役割を果たすと考えられる所見を得た(Urakamiet al,1997)。 そこで、ラットの敗血症ショックモデル作成のため、予備実験として生後12〜16週の雄のwistar ratにE.coli由来エンドトキシン(LPS)10mg/kgを腹腔内投与したところ、血圧低下および血中のTNF-αおよびIL-6は上昇した。従って、本研究の本年度の目的の1つである敗血症ショックモデルの作成は、以後この方法によることとした。 LPS投与後約24〜48時間のラットを、ペントバルビタール麻酔下に腸管膜動脈を摘出し、アセチルコリン(10^<-9>〜10^<-6>M)による弛緩反応をコントロール群(生理食塩水腹腔内投与)と比較する前段階として、リング標本をphenylephrine(3x10^<-7>M)により収縮させたところ、LPS投与群ではphenylephrineによる収縮反応が有意に抑制されていた。LPS投与群におけるこのphenylephrineによる収縮の抑制はNO合成阻害薬であるnitro-L-arginine(10-4M)の存在下でも完全に回復しないことから、NO以外の血管拡張物質の存在が示唆され、来年度以降さらなる検討が必要であると思われた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Nakashima,et.al.: "Smooth muscle cell membrane hyperpolarization and relaxation of canine blood vessels to Vasoactive Intestinal Polypeptide." Journal of Cardiovascular Pharmacology.30. 273-277 (1997)
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[Publications] R.Urakami-Harasawa,M.Nakasima,et al.: "Importance of Endotherium-Derived Hyperpolarizing Factor in Human Arteries." Journal of Clinical Investigation.100. 2793-2799 (1997)