1997 Fiscal Year Annual Research Report
痛覚情報処理における神経栄養因子を中心とする細胞内情報伝達機構の解明
Project/Area Number |
09671581
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
伊吹 京秀 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (90232587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 優人 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (20260797)
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Keywords | 疼覚 / 情報伝達系 / アロディニア |
Research Abstract |
本年度の研究により以下の成果が得られた. 1.ニューロパチーモデルとして,Chungらによる脊髄神経結紮モデルとBenettらによる座骨神経結紮モデルを作成することが可能となった. 2.非侵害性機械刺激に対するアロディニアを,VonFreyhairsを用いてChaplanらによる(1994)Up-down methodにて正確に定量的評価を行うことが可能になった. 3.座骨神経結紮モデルにおいて痛覚過敏,アロディニアの時間的経過を行動薬理学敵手法により観察,同時に脊髄後角のGABA含有抑制性介在ニューロンの形態的な経時的変化との関連が明らかになった.すなわちGABA含有ニューロンは,神経損傷3日後より結紮側において減少し始め3週間後まで両側で完全に消失する.非結紮側では約7週間後にほぼ損傷前のレベルにまで回復するが,結紮側では完全には回復しない.これが,GABA含有抑制性介在ニューロンの変性によるものかもしくは一時的なdown regulationによるものかは,まだ明らかではない.またこのような形態学的変化と非侵害性機械刺激に対するアロディニアの消長の間には良好な相関関係が見られた. 4.脊髄神経結紮モデルにおいて,脊髄での抑制性介在ニューロンであるGABAおよびglycine含有ニューロンの経時的な形態学的変化を免疫組織化学的手法を用いて調べた.その結果,ニューロパチー発症メカニズムにおける脊髄に存在する脆弱な介在ニューロンの機能不全の関与が証明された. 5.脊髄におけるマイクロダイアリシス法が確立された. 6.予備実験として,神経栄養因子であるサポシンのニューロパチーに対する治療的効果が確認された.
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