1998 Fiscal Year Annual Research Report
肝静脈血酸素飽和度が患者の予後にいかに効果を与えるかについての評価に関する研究
Project/Area Number |
09671589
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
貝沼 関志 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教授 (90135335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 聰行 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (40093075)
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Keywords | 肝臓 / 血圧 / 救急医療 / 集中治療医学 / 肝静脈血酸素飽和度 / 酸素 / 肝障害 / 肝循環 |
Research Abstract |
本年は主に肝静脈血酸素飽和度測定の応用を救急患者と術後患者において行った。救急集中治療領域においてはとくに血圧をもとにして循環管理を行うことが多いため、血圧低下によってどのように肝機能が傷害されるかを肝静脈血酸素飽和度を媒介としてコンピューターを用いてシミュレーションした。結果は、(1)人での麻酔中の肝静脈血酸素飽和度の実測値と術後肝機能障害のデータから見た場合、hepatic arterial buffer response(HABR)が標準的な程度に存在するとき、平均血圧45mmHg程度で3時間、25mmHg程度で50分程度まで理論上容認できるが、それ以下の平均血圧では更に短時間までとなるが、その詳しい値は不明である。しかし、HABRが何らかの病態によって全く存在しなくなったとき、容認できる血圧は大幅に上昇し、平均血圧73mmHg程度で3時間、69mmHg程度で50分、67mmHg程度で30分、65mmHg程度で10分、64mmHg程度で1分程度となった。(2)犬での麻酔中の肝酸素消費量の減少を生ずる肝酸素供給量のcritical pointのデータから見た場合、HABRが標準的な程度に存在するとき、平均血圧24mmHg程度まで容認できる。しかし、HABRが何らかの病態によって全く存在しなくなったとき、容認できる血圧は大幅に上昇し、平均血圧68mmHg程度となった。(3)犬での麻酔中の肝静脈中ケトン体比の減少を生ずる肝酸素運搬量のcritical pointのデータから見た場合、HABRが標準的な程度に存在するとき、平均血圧13mmHg以下まで容認できるがその詳しい値は不明である。しかし、HABRが何らかの病態によって全く存在しなくなったとき、容認できる血圧は大幅に上昇し、平均血圧60mmHg程度となった。 次に救急集中治療領域での肝静脈血酸素飽和度の応用として救急集中治療患者の診断と病態について資料を収集した。特に肝切除術後においては術後24時間以降から肝静脈血酸素飽和度が著明に低下し肝再生の影響による肝酸素消費量の増加がある事が分かった。さらにケトン体比とGST-αによる肝小葉の中心壊死のモニタリングを行うことにより、救急患者における肝静脈血酸素飽和度の低下を間接的に知り得ることがわかってきた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 貝沼関志: "合併症を持つ患者の術前、術後の全身管理 肝硬変・肝機能障害" 臨床泌尿器科. 52. 391-396 (1998)
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[Publications] 貝沼関志: "肝静脈血酸素飽和度モニタリング" 日本臨床麻酔学会誌. 18. 476-482 (1998)
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[Publications] 貝沼関志: "麻酔と腎機能" 専門医のための麻酔科学レビュー98. 28-33 (1998)
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[Publications] 貝沼関志: "麻酔と腎機能" 専門医のための麻酔科学レビュー99. (1998)