1997 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素性肺血管収縮反応の機序解明ー新しい観点からの挑戦ー
Project/Area Number |
09671591
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
塩川 泰啓 近畿大学, 医学部, 講師 (90235490)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 晴也 近畿大学, 医学部・附属病院, 助手 (90288944)
竹村 光博 近畿大学, 医学部・附属病院, 助手 (30278725)
泉 貴文 近畿大学, 医学部, 助教授 (40223044)
|
Keywords | 家兎 / 定流量再灌流標本 / 吸入麻酔薬 / ハロタン / カルシウムチャンネルアゴニスト / BAY K 8644 / 肺循環 / 低酸素性肺血管収縮 |
Research Abstract |
肺胞低酸素により引き起こされる低酸素性肺血管収縮(以下HPV)反応の吸入麻酔薬による抑制作用の機序は未だ明らかでない.われわれは,ハロセンによるHPV反応抑制作用に対しCaチャンネルが関与しているか否かをCaチャンネルアゴニストであるBAYK8644(以下BK)を用いて検討した.<方法>雄性家兎を全身麻酔下に気管切開した.開胸後肺動脈に送血管を,左心房に脱血管を挿入し,肺灌流は定流量再灌流方式で行った.灌流液には自家血をPSS液(アルブミン3%含有)で希釈し,Ht値を焼く10%に調整したものを用いた.HPV反応は,吸入酸素濃度を21%から3%に変化させることによって誘発し,灌流圧の変化(ΔPAmean:mmHg)を評価の指標とした.家兎を6羽ずつ無処置群,処置群(BK:5×10^<-8>M)の2群に分け,0.5,1,2,3MACのハロセンを順不同に吸入させ,HPV反応を観察した. <結果>(1)無処置群では,ハロセン吸入により濃度依存性にΔPAmeanが減少し,HPV反応が抑制された.(2)BKの処置によりΔPAmeanは有意に増強した.(3)処置群でも,ハロセン吸入により濃度依存性にHPV反応が抑制されたが,0.5MAC吸入下で有意な抑制は認められなかった.(4)HPV反応を50%抑制する値ID_<50>は,処置群の方が有意に大きかった. <考察>Caチャンネルアゴニストの処置により有意なHPV反応の増強作用が認められ,HPV反応の増強機構にCaイオンの存在が必要であることが確認できた.またBKの処置によりHPV反応が増強した状態でハロセンを投与したところ,やはりHPV反応を抑制した.したがってCaチャンネルアンタゴニストによるHPV反応の抑制結果の報告と併せ考えると,ハロセンによるHPV反応の抑制機序に,Caチャンネルが強く関与していると考えられた.
|