1998 Fiscal Year Annual Research Report
再灌流後微小循環動態に及ぼすリドカインの影響-網膜微小血管を対象とした解析-
Project/Area Number |
09671592
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Research Institution | KAWASAKI MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
藤田 喜久 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (10144263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 健一 川崎医科大学, 医学部, 講師 (90214874)
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Keywords | 微小循環 / リドカイン / 白血球 / 内皮障害 / 接着分子 / 微小血管 / 生体顕微鏡 / 蛍光顕微鏡 |
Research Abstract |
平成9〜10年度にわたる本研究の目的は生体顕微鏡を用いて網膜微小血管の虚血後再灌流時の微小循環動態を観察し、低濃度リドカインによる白血球-内皮細胞間相互作用の抑制作用を微小血管内での赤血球、白血球動態の解析により明らかにすることであった。しかし平成9年度の研究により当初の予想に反して、われわれの所有する微小循環観察システム(蛍光顕微鏡、画像処理装置)では家兎網膜微小血管とその中を流れる血漿や白血球、赤血球の血球成分を描出できないことがわかった。そしてその原因として、いくつかの可能性の内、異なる屈折率をもつ眼球内組織:角膜、水晶体、硝子体での微小光の散乱がもっとも高いと推測された。そこで平成10年度は散乱光を除外できるレーザー光を用いた光学システム(Scanning Laser Ophthalmoscope:SLO、走査型レーザ検眼鏡)を用いて網膜微小血管の観察を試みた。そしてSLOを用いることにより、網膜内の微小血管(細動脈、細静脈、毛細血管)とその中を流れる血漿を明瞭に観察することが可能となった。しかし、使用可能な波長が限られていることから、白血球、赤血球の微小血管内での流れは観察することができなかった。一部、白血球についてはロダミン6Gを直接頚動脈内に注入することにより、細静脈壁に膠着して白血球を描出できたが、再現性が乏しかった。網膜微小循環内の白血球観察のためにはSLOフィルターの改良やレーザー光の強度の増強、あるいはウサギ以外の他種での動物での試みなどの工夫が今後、必要と考えられた。本年度は41匹の有色家兎を対象として研究を行った。そして、静脈麻酔薬プロポフォールと吸入麻酔薬ハロセンによる低血圧麻酔(平均動脈圧=約50mmHg)を行い、平均循環時間の変化、網膜微小血管径の変化、蛍光物質(フルオレスセインNa)の血管外漏出の有無を検討し、いずれの麻酔薬も網膜微小循環に不可逆的な変化を惹起しないことを確かめた。
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