1998 Fiscal Year Annual Research Report
周術期における循環変動を伴わない心筋虚血と血管内皮機能
Project/Area Number |
09671594
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Research Institution | Kurume University School of Medicine |
Principal Investigator |
渡邉 誠之 久留米大学, 医学部, 講師 (10201196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 龍彦 久留米大学, 医学部, 教授 (50040605)
山田 信一 久留米大学, 医学部, 助手 (90258484)
濱田 伸哉 久留米大学, 医学部, 助手 (70238070)
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Keywords | 冠攣縮 / 心筋虚血 / 副交感神経 / 冠血管内皮機能 / エンドセリン / アセチルコリン負荷テスト |
Research Abstract |
副交感神経の過緊張が冠動脈攣縮の発生に関与する可能性について基礎及び臨床研究を行った。基礎実験:術中冠動脈スパズムの発生原因の一つとして交感神経・副交感神経緊張度の不均衡が言われている。しかしながら副交感神経の過緊張だけでは冠血管の拡張作用しかこれまで示されていない。今回我々は冠動脈血管壁の緊張度の上昇がAch負荷テストにおける冠血管反応に対する影響を調べた。【方法】雑種成犬6匹を対象とした。完全AVブロック作成後右心室ペーシングにより心拍数(平均123bpm)を、平均体血圧(84mmHg)は加圧貯血バックにより実験中一定に保ち、右大腿動脈一左前下行技バイパスを作成した。冠血管壁緊張度を上昇させるためにエンドセリン(ET-1)を直接バイパス内に投与(30%冠血流低下を目標)し、その前後においてAch投与(0.01-10μg)を行い冠血流量反応を測定した。【結果】Ach負荷により容量依存性に最大冠血流量は増加した(p<0.01)。ET-1投与下においてのみ、Ach投与による冠血流増加後、投与前値よりも低下した(p<0.01)。【結語】冠血管緊張度が副交感神経過緊張による冠動脈スパズム発生に関与する事を示唆する。(1999年日本麻酔学会で発表) 臨床研究:虚血性心疾患患者において副交感神経を刺激するコリンエステラーゼ阻害薬であるエドロフォニウム(Edr)を投与し、副交感神経の過緊張が冠攣縮を誘発し心筋虚血を発生する可能性に付いて検討を行った。【方法】冠動脈バイパス術13例を対象とした。ミダゾラム(10mg)、フェンタニル(300μg)、ベクロニウム(6mg)にて麻酔を導入した。循環動態の安定した左内胸動脈採取時に中心静脈路よりEdr(0.25mg/kg)を急速静注(1-2秒)した。Edr投与後20分間、血行動態、心電図PQ時間、ST変化を経時的に測定した。【結果】Edr投与後全例洞性徐脈をきたし、Edr投与3分後に最低値(54±10拍/分、p<0.01)を示した。PQ時間は投与1分後において延長(+28msec,p<0.01)したが、投与2分以降回復した。観察中収縮期橈骨動脈圧、肺動脈圧、中心静脈圧は変化せず、ST変化も認められなかった。【結語】Edr投与直後に副交感神経の過緊張を誘発できたが冠攣縮による心筋虚血を示唆する所見は出現しなかった。これらより副交感神経の過緊張だけでは冠攣縮を誘発するとは言い難い。(1998日本麻酔学会、アメリカ麻酔学会にて発表
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Research Products
(1 results)