1998 Fiscal Year Annual Research Report
自己排尿型代用膀胱作成例における排尿時尿流動態の検討
Project/Area Number |
09671597
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
飴田 要 北海道大学, 医学部, 助手 (60271657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿崎 秀宏 北海道大学, 医学部附属病院, 講師 (10241324)
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Keywords | 自己排尿型代用膀胱 / 膀胱全摘術 / QOL / 尿流動態検査 / 括的筋機能異常 / 上部尿路障害 |
Research Abstract |
膀胱全摘術後に自己排尿型代用膀胱を作成した症例に対し、自己排尿の獲得に寄与する因子を明らかにすること、および、自己排尿型代用膀胱において腹圧排尿が排尿効率および上部尿路に及ぼす影響を明らかにすることを目的に、排尿動態を詳細に検討した。対象は自己排尿型代用膀胱作成術後の8例であり、各症例とも術後自排尿が可能となった時期をめどに諸評価を行い、適宜、尿流動熊検査所見の経時的な変化を検討した。検査内容は、経静脈性尿路造影、排尿時膀胱尿道造影、pressure flow study(排尿時膀胱排尿筋圧尿流率同時測定)および外尿道括約筋筋電図検査である。結果として、術後中央値2年5カ月の経過観察にて自排尿の得られていない症例はなく、今回の検討では自己排尿の獲得に寄与する因子を明確にすることは出来なかった。しかし、残尿量が多かった1例では同時に尿失禁や夜間遺尿も認められており、手術時の括約筋損傷や術後の腸管尿道吻合部の線維化などの他、括約筋を支配する骨盤内の神経線維の損傷などが排尿障害の原因として否定できないものと考えられた。,ressure flow studyの検討結果では、排尿効率に関与する因子として腹圧の高低は重要ではなく、むしろ代用膀胱の形状や尿道吻合部の位置およびその材質がより重要と考えられたが、1例は排尿中に括約筋の弛緩を示さず、手術操作に関連した括約筋機能異常(sphincter dyssynergia)の存在も示唆された。上部尿路障害を来した症例はみられず、腹圧排尿自体の上部尿路に及ぼす影響については短期的には少ないものと考えられた。しかし、上部尿路障害には蓄尿期の代用膀胱内圧や伸展性、さらに腸管の不随意収縮の有無などが関与している可能性があり、これらも含めた長期的検討がより重要であろうと考えられた。
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