1998 Fiscal Year Annual Research Report
水腎に伴う対側腎障害進展因子:特に浸潤細胞・接着分子の役割とそれに対するrenin-angiotensin系の関与
Project/Area Number |
09671600
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
近田 龍一郎 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (10225609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 清英 東北大学, 医学部, 助手 (00271908)
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Keywords | 水腎症 / 糸球体酵素 / 尿細管間質防害 / プロスタグランディンE_2 / トロンボキサンA_2 / renin / angiotensinogen / Angiotensin |
Research Abstract |
一側水腎の存在が対側健腎に対しどのような影響を及ぼすか、左尿香結紮ラットを用いて検討した。比較には左腎摘群残腎及びシャム手術(コントロール)群右腎を用いた。短期実験では、prostaglandin E2(PGE2)とthromboxane B2(TxB2)の局在の変化をみた。特徴的なのは間質の変化で、水腎群健腎のTxB2発現はほとんど増加しないのに対し、残腎では髄質で術後3-7日に発現が増加した。PGE2は、水腎群健腎でも術後3-5日に髄質で発現が増加したが、残腎では皮質・髄質双方で術後3-7日にかけて発現の増加が観察された。これは、水腎群健腎では残腎にみられるような対側腎機能の消失に伴う代償性変化とは異なった機序が働いていることを強く示唆する。長期実験では、短期と同様に水腎群、腎摘群、コントロール群を作成し、renin-angiotensin系(R-A系)を中心に検討を行った。これまでの実験で、水腎群健腎に残腎やコントロール腎に比較し術後16週より高度の糸球体硬化や間質の線維化が認められ、これはACE阻害剤投与により軽減することが明らかになっている。今回は、血漿renin活性、腎内renin、angiotensinogen、ACE発現の変化を術後16週・28週で検討した。この結果、血漿renin活性は水腎群で他群より有意に低値を示したが、reninの生成は水腎で有意に増加し健腎では逆に他の群より有意に低下していた。一方、水腎群健腎では皮質の近位尿細管刷子縁にangiotensinogenとACEの発現が他の群より有意に増加していた。これは、水腎群健腎でangiotensin II生成が亢進していることを強く示唆する。しかし、この腎ではreninの生成は有意に低下しており、水腎側で生成されたreninが対側健腎のR-A系賦活化に深く関与している可能性がある。
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Research Products
(1 results)