1998 Fiscal Year Annual Research Report
排尿筋過活動に由来する尿失禁の成因:Celljunction変化による解析
Project/Area Number |
09671605
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
外山 芳郎 千葉大学, 医学部, 講師 (70009637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 耕作 独協医科大学, 越谷病院, 教授 (70009710)
山西 友典 千葉大学, 医学部, 講師 (90220425)
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Keywords | 下部尿路 / 膀胱 / 排尿筋 / 尿路障害 / 加齢 / 微細形態 / 細隙結合 |
Research Abstract |
今までは正常組織像および正常電子顕微鏡像を得る目的で下部尿路通過障害、神経障害、排尿障害を認めない患者の膀胱平滑筋、尿道固有横紋筋筋、尿道周囲横紋筋の健常部分および健常イヌのこれらの筋組織を年齢別に電子顕微鏡で観察し、以下の結果を得た。 1) 年齢が増すとともに変性した筋線維が増える傾向がみられた。この傾向は筋線維の一部に変性が見られる場合と、筋線維全体が変性する場合の両方に見られた。これは光学顕微鏡による広範囲に亘る観察でも確認できた。 2) 細隙結合の出現頻度および大きさは加齢とは関係がないように思われた。これについては個体の差によるものか、試料の採取部位によるものか、または、たまたまそのようなところを電子顕微鏡で見たためなのか判らないので、抗細隙結合蛋白抗体を用いて免疫組織学的に広範囲の組織について調べる必要性があるという結論に達した。また電子顕微鏡像における細隙結合の出現頻度および大きさの計測のしかたにも、細胞膜の単位長さあたりの細隙結合の出現頻度および大きさを計測する必要が生じたので、画像解析装置の入手が必要である。 今のところ、健常な筋組織の所見は以上であるが、同時に器質的下部尿路通過障害を有する患者の上記筋組織を経尿道的、針生検、または開腹手術で得て、同様に電子顕微鏡で観察した。まだ20例しか検査していないので結論は出せないが、同年齢の健常者に比べると、過活動膀胱による排尿障害の症例では細隙結合の出現頻度は高かった。これは、発達した細隙結合により一つの神経終末から各筋細胞に収縮刺激が過剰に伝わるためであると推測される。
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