1998 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺肥大症におけるα_<1a>-アドレナリン受容体多形性の臨床的意義
Project/Area Number |
09671608
|
Research Institution | The UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
森山 信男 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (80143501)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀山 周二 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (90186015)
|
Keywords | ヒト前立腺 / 前立腺肥大症 / α_1アドレナリン受容体 / 多形性 |
Research Abstract |
本年度は前年度に登録し、α_<1a>-アドレナリン受容体の多形性を決定した前立腺肥大症患者の治療効果を見るべく経過観察を行うとともに、その前立腺組織の組織型を観察した。 1. 新規前立腺肥大症患者にたいして、臨床症状(IPSS)や前立腺の大きさその他の因子をきめる。 2. 治療前の採血にて、血液生化学、前立腺特異抗原、テストステロン等の測定をおこなう。 3. 同じくα_<1a>-アドレナリン受容体の多形性をおこなう。具体的には患者末梢血よりDNAを抽出し、適切なプライマーを用いてα_<1a>-アドレナリン受容体遺伝子の1417-1918(502-bp)をPCRで増幅し、制限酵素のpstIで処理後泳動して、PstIによる多形性をみる。 4. 各種α_<1a>-アドレナリン受容体阻害剤にて一定期間治療し、治療効果判定をIPSSにて決め、治療前と同様の検査を行う。 5. 各多形性での血液生化学像の変化の有無並びに治療効果を判定する。 6. 前立腺切除を行った症例で前立腺組織を検鏡し、その組織型を検討した。 我々の今回の研究では、α_<1a>-アドレナリン受容体の多形性(492番目のアミノ酸がアルギニンからシスチンに変化)は、欧米人では約ほぼ43%がシスチンのホモタイプであり、46%がアルギニンとシスチンのへテロタイプである(Hoeheet al.,1992)のに対して、日本人では157名中123名(78%)がアルギニンのホモタイプであり、33名(21%)がアルギニンとシスチンのへテロタイプであった。またシスチンのホモタイプはわずか1名(1%以下)であった。アルギニンのホモタイプは、アルギニンのへテロタイプ(シスチンのホモタイプも含む)に比べて血中トリグリセライドが低い傾向にあった(141±76vs168±113;p=0.18)。しかし、血中のコレステロール、PSAやテストステロンとの相関は極めて低かった。 臨床症状や治療効果は特に両者で差は無かったが、日本人に多いアルギニンのホモタイプではfibromusclar typeよりもadenoma typeが多い印象を受けた。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Moriyama,N.,et al.: "Semiquantitative evaluation of α_<1a>-adrenoceptor subtype mRNA in human hypertrophied and non-hypertrophied prostates : regional comparison." LIFE SCIENCES. 64. 201-210 (1998)
-
[Publications] Nasu,K.,Moriyama,N.,et al.: "Quantification and distribution of α_1-adrenoceptor subtype mRNAs in male and female human posterior urethra." Br.J.Pharmacol.123. 1289-1293 (1998)
-
[Publications] Kurimoto,S.,Moriyama,N.,et al.: "Evaluation of histological structure and its effect on the distribution of α_<1a>-adrenoceptors in human benign prostate hyperplasia." Br.J.Urol.81. 388-393 (1998)
-
[Publications] Fukasawa,R.,Taniguchi,N.,Moriyama,N.,et al.: "α_<1L>-Adrenoceptor subtype in lower urinary tract-comparison of human urethra to prostate-" Br.J.Urol.82. 733-737 (1998)