1997 Fiscal Year Annual Research Report
腎細胞癌細胞の増殖および腫瘍血管の新生における一酸化窒素の役割
Project/Area Number |
09671615
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
斉藤 和英 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (20262438)
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Keywords | 腎細胞癌 / 一酸化窒素 / 一酸化窒素合成酵素 |
Research Abstract |
一酸化窒素(NO)は、自由に細胞膜を拡散できるガス状の細胞間情報伝達物質であり、平滑筋の弛緩、免疫細胞による異物への攻撃など、生理的に重要な働きをしている。その一方で一部の消化器癌では、腫瘍血管の新生と、NO合成酵素の発現との間に正の相関関係があることが明らかになっている。しかし腎細胞癌におけるNOの働きは、いまだ明らかにされていない。したがって以下に挙げる点につき本研究では研究中である。 1)ヒト腎癌組織中および新生血管中のNO合成酵素の局在を免疫組織学的染色法、電気泳動法により確認し、病理学的な分類とNO合成酵素の発現との関係を調べる。 2)腎癌細胞培養系で薬理学的にNOと癌細胞の増殖の関係を悪性度別に調べる。 3)NO合成酵素の発現と、腎細胞癌の血管新生、悪性度などの関連を明らかにする。 1)については、腎細胞癌患者から摘出した腎臓の正常部と癌組織のNO合成酵素の局在を抗内皮型NO合成酵素モノクローナル抗体を用いた免疫組織学的染色法で調査中である。腎の正常部位では、これまでの報告と同様に糸球体、血管、尿細管細胞、傍糸球体装置の緻密斑に集積が認められた。癌組織中ではあきらかな集積部位を同定できなかった。 今後は他のNO合成酵素アイソザイム(神経型、誘導型)につき検討する予定である。 2)については、各種腎癌細胞株培養系を確立し、NO合成酵素阻害剤やNO放出物質を投与して、増殖様式を検討した。NO合成酵素阻害剤投与により細胞増殖は抑制される傾向にある。 3)については癌組織スライス標本を作成し、単位面積中の血管数とNO合成酵素陽性細胞数の関係を組織型別、悪性度別に検討中である。
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