1997 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺がん患者の代謝酵素多型性の解析及びリスクグループの同定
Project/Area Number |
09671623
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
渡辺 昌俊 三重大学, 医学部, 助教授 (90273383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福留 寿生 三重大学, 医学部, 助手 (40270681)
矢谷 隆一 三重大学, 医学部, 教授 (80024636)
山川 謙輔 三重大学, 医学部, 助手 (00230326)
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Keywords | 代謝酵素 / 遺伝子多型 / 前立腺癌 / リスク評価 |
Research Abstract |
我々は、三重大学付属病院および関連病院を受診している前立腺患者および前立腺肥大症患者より採取した血液からDNAを抽出し、これを用いて発がん物質の代謝に関与する代謝酵素の遺伝子多型を解析中である。 これまでに前立腺癌(以下PCa)117名、前立腺肥大症(以下BPH)97名を対象とし、発ガン性芳香族炭化水素の代謝、解毒に関与すると考えられるCYP1A1酵素およびGSTM1酵素について解析した。これらの酵素では遺伝子多型がその酵素活性に影響することが既に報告されている。解析は末梢血白血球由来のDNAを用い、対立遺伝子特異的PCR法および制限酵素切断によりおこなった。また、コントロールとしたBPH群については、前立腺特異抗原、直腸診、生検、超音波等にて前立腺癌の存在を否定した。 解析の結果、CYP1A1遺伝子については酵素活性の高い遺伝子型であるVal型アレルを持つ頻度がPCa群48%、BPH群42%とPCa群で高く、相対危険度は1.3(95%信頼区間0.74-2.19)であった。GSTM1遺伝子においても酵素活性を持たない欠損型の頻度が、PCa群49%、BPH群41%と前者で高く、相対危険度は1.3(同0.78-2.34)であった。さらにこれら2つの遺伝子多型を組み合わせた場合、最も高リスクと考えられるCYP1A1Val型かつGSTM1欠損型の組合せでは、相対危険度は1.9(0.86-4.34)となり、このことから代謝酵素遺伝子多型の組合せにより前立腺癌の高リスク群を同定できる可能性が示唆された。また、組織型、臨床病期、診断時年齢にも代謝酵素遺伝子多型が影響している可能性も考えられた。 今度、症例数を増やし、他の代謝酵素遺伝子多型についても解析を行う予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Michiaki Ishii: "Glutathione S-transferase M1 and cytochrome P-450 (CYP1A1) polymorphisms Susceptibility to prostate cancer." 腎泌予防医誌. 5・1. 58-60 (1997)
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[Publications] Masatoshi Watanabe: "Differences in the p53 gene mutational spectra of prostate cancers between Japan and Western countries." Carcinogenesis. 18・7. 1355-1358 (1997)
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[Publications] Kensuke Yamakawa: "Mechanism of acquisition of androgen-insensitivity suggested by integrin α6 expression in LNCaP cells." proceedings of the Enghth Workshop of Prostate Cancer,. 24-27 (1997)
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[Publications] Masatoshi Watanabe: "Genetic alterations of androgen receptor gene in Japanese human prostate cancer." Jpn.J.Clin.Oncol.27・6. 389-393 (1997)
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[Publications] 白石泰三: "ラテントがん" 臨床と研究、別冊. 74・2. 78-81 (1997)