1998 Fiscal Year Annual Research Report
CAPD患者の腹膜災時のバンコマイシンの投与経路による薬物動態の差異の検討
Project/Area Number |
09671629
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
青木 明彦 山口大学, 医学部・附属病院, 講師 (20263775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 公雄 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (10284241)
須賀 昭信 山口大学, 医学部, 助教授 (50243639)
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Keywords | CAPD / 腹膜災 / バンコマイシン |
Research Abstract |
4歳の男児のCAPD腹膜炎に対しパンコマイシン(VCM)の点滴静注投与を行い、VCMの血中濃度を測定した。患児は1歳時 multicystic dysplastic kidneyによる慢性腎不全のためCAPD導入となり、2歳2カ月時に難治性腹膜炎発症の既往歴がある。今回CAPD排液の混濁を認めたため腹膜炎の診断にて緊急入院した。出口部およびトンネル感染は認めず、軽度の腹痛を認めたが発熱はなかった。血液検査では白血球数が10400/mm^3と軽度上昇していたが、CRPは0.7mg/dl以下であった。入院当日CMNX30mg/kgの静注(4日間)およびVCM20mg/kgの点滴静注(1回のみ)を行った。排液の細菌培養はnegativeであった。治療開始翌日、3日目、5日目、9日目の排液中 cell countはそれぞれ809/mm^3、283/mm^3、92/mm^3、30/mm^3であり著明に改善した。投与3日目のVCM血中濃度は7.51μg/mlと低値であった。入院期間中、発熱、腹痛は認められなかった。入院5日目からCFDN5mg/kgの内服に変更したが腹膜炎の再発は認めず、軽快退院した。CAPD腹膜炎の起炎菌としては黄色ブドウ球菌が最も多いが、起炎菌が同定されるまでは広い抗菌スペクトルを考慮した抗生物質の投与が必要である。今回はVCMにCMNXを併用したが、前回および今回のVCM投与後の血中濃度から、腹膜炎に対するVCMの点滴静注は、腹膜の透析機能にもよるが2〜3日間の投与間隔でよいのではないかと思われた。
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Research Products
(1 results)