1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671630
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
香川 征 徳島大学, 医学部, 教授 (40035738)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 欣也 徳島大学, 医学部・附属病院, 助手 (10274218)
|
Keywords | MMP-2 / TIMP-2 / MT1-MMP / 膀胱癌 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
MMP-2(matrix metalloproteinase 2)は基底膜や間質を構成する細胞外マトリックスを分解する酵素であり、癌の浸潤や転移に重要な役割を果たしていることが示唆されており、そのインヒビターであるTIMP-2(tissue inhibitor of metalloproteinases 2)、アクチベータ-であるMT1-MMP(membrane-type matrix metalloproteinase 1)も同様に浸潤や転移に関わる重要な因子である。われわれは以前にノーザンプロット法によりMMP-2の発現が膀胱癌の浸潤や予後に関与することを報告したが、臨床応用としてはより簡便な方法が望まれた。そこで、RT-PCR法を用いると、mRNAレベルでの発現を定量化することが可能であり、短時間に簡便に遺伝子発現が半定量化できる。分子生物学的手法を臨床応用するためには検査室レベルでの解析を可能にする必要があり、RT-PCRはその意味での有用性もある。本研究では、GAPDH(glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)をコントロールとして、RT-PCR法により41例の膀胱癌組織におけるMMP-2、TIMP-2、MT1-MMPの発現定量化を行い、膀胱癌の予後予測に有用であることを確認した。MMP-2、TIMP-2異型度の強い腫瘍、より進行した筋層浸潤を認める腫瘍で有意に発現が強かった。さらに、MMP-2、TIMP-2、MT1-MMPの発現が強い症例は有意に予後不良であり、筋層浸潤を有するpT2以上で膀胱全摘が施行された症例においても、MMP-2の発現が強い症例は有意に予後不良であり、発現の弱い腫瘍は再発転移を認めず、同じ筋層浸潤を有する症例においても予測因子としての有用性が認められた。膀胱全摘例において、RT-PCRを用いてMMP-2、TIMP-2、MT1-MMPの発現を定量することにより、発現が弱い症例は術後補助療法を免れることができるかもしれない。
|