バイオプシー試料を用いた移植腎浸潤T細胞のクロナリティー解析

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09671649
• Research Institution: Kitasato University
• Principal Investigator: 小幡 文弥 北里大学, 医療衛生学部, 助教授 (60129236)
• Keywords: 腎臓移植 / 浸潤T細胞 / TCRαβ / CD4 / CD8 / IFN-γ / IL-4 / TH1 / TH2

Research Abstract

腎臓移植後の急性拒絶反応および慢性拒絶反応に関与するT細胞集団の性質を明らかにする目的で、移植腎バイオプシー中に含まれる浸潤T細胞について、T-cell receptor(TCR)αβ、CD4/CD8、Th1/Th2に関する解析を行った。解析した合計21例のバイオプシーの内訳は、急性拒絶反応8例、慢性拒絶反応6例、および陰性対照としての移植直後1hourバイオプシー7例である。バイオプシー試料をRNA分離液に溶解後、TCRAC、TCRBC、CD4、CD8、IFN-γ、IL-4および出発材料の量補正のためのactinについてRT-PCRを行い、増幅DNAの濃度を測定した。
TCR定常域のPCR増幅量からαβT細胞の浸潤程度を検討した結果、陰性対照としての1hourバイオプシー群に比較し、急性拒絶反応群および慢性拒絶反応群はともに有意な増加を認めた。但し急性/慢性間では差がなかった。CD4およびCD8に関しても、急性・慢性両拒絶反応群は陰性対照群に比べともに同程度の増加を示した。慢性拒絶反応については、非免疫学的な組織障害が主な機序であるとの見解もあるが、本研究の結果は、免疫系細胞(DC4^+およびCD8^+αβT細胞)が慢性拒絶反応に関与する事を示す所見と言える。Th1細胞の指標であるIFN-γは、急性・慢性両拒絶反応群いずれも陰性対照群より有意に高かったが、急性/慢性間では差がなかった。一方Th2細胞の指標であるIL-4は、急性拒絶反応群では全く検出されず、慢性拒絶反応においてのみ検出された(6例中2例)。これらの症例では、慢性拒絶反応にTh2型免疫応答が関与した事が示唆された。

Research Products

• [Publications] Ito K et al.: "Possible mechanisms of immunotherapy for maintaining pregnancy in recurrent spontaneous aborters:Analysis of anti-idiotypic ant"Human Reproduction. 14. 650-655 (1999)
• [Publications] Obata R et al.: "Human T-cell receptor BV6 gene polymorphism in relation to expression level and CD4/8 skewness."Scandinavian Journal of Immunology. (in press). (2000)