1999 Fiscal Year Annual Research Report
腎癌の浸潤・転移と細胞接着分子Cadherin発現に関する基礎的、臨床的研究
Project/Area Number |
09671651
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
朝倉 博孝 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (50175840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大東 貴志 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80185371)
大家 基嗣 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00213885)
橘 政昭 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (70129526)
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Keywords | cadherin 6 / N-cadherin / E-cadherin / 腎癌 / 悪性度 / 転移 |
Research Abstract |
ヒト腎癌細胞株KU2、Caki-1、Caki-2、ACHN、NRC-12他計7株におけるE-(E)、N-(N)、P-カドヘリン(P)、カドヘリン6(c6)、11(c11)、13(c13)、の発現をノーザンブロット法で検討した。 強い発現をNは全株、c6は5株で示したがc11とc13は1株のみでEとPでは認めず、NはEとc11に比しc6はEとc13に比し有意に発現株が多かった(p<0.05)。手術、剖検より得た原発巣30例と肺転移巣5例の凍結組織を抗Nポリクローナル抗体、抗Eおよび抗c6モノクローナル抗体を用いた免疫染色およびウェスタンブロット法により、各発現を腫瘍の悪性度と比較した。Eの発現率はNとc6に比して低く(p<0.005)各々の発現例は悪性度と共に減少した(NS)。EとN、Eとc6の同時発現例も各々悪性度と共に減少した(NS)。しかしN単独発現例は悪性度と共に増した(NS)。肺転移巣ではc6(5/5例)、N(4/5例)、E(1/5例)の順で発現が多かった(p<0.05)。1991年以降の35例の原発巣パラフィン包埋組織を用いてEとNの免疫染色を行い、悪性度、進展度、転移、予後との関連を検討した。凍結組織と同様、E、Nおよび同時発現の例数は各々悪性度と共に減少しN単独発現例は増加した(NS)。また、転移例10例(内5例癌死)の原発巣での発現をみるとE4例、N8例、同時発現3例とN発現例が多かった(NS)。33例についてpT分類とE、Nの発現性を検討したところ、Eは進展度と共に減少、Nは逆に増加しpT1でNの発現例は認めなかった(NS)。c11とc13の発現については現在検討中である。以上より、腎癌の悪性度、進展度、転移にE、N、c6の機能低下あるいは亢進が関与している傾向はあったが有意な結論を導き出せず、今後多症例での解析、転移臓器別の検討を行う必要性が明らかになった。*(NS:not signicant)
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