1998 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌化の分子機構に関する研究 癌抑制遺伝子のクローニング
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09671664
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鹿沼 達哉 群馬大学, 医学部, 助手 (90241885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和気 徳夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50158606)
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Keywords | 卵巣癌 / TGF-β / Smad / 子宮内膜癌 / hMTH1 / p16^<INK4A> |
Research Abstract |
1. 細胞周期のG1期の調節に関与するP16-CyclinD/Cdk4-Rb経路を構成する遺伝子について解析し、これら遺伝子の少なくとも1つの異常が卵巣癌細胞株の約80%に認められることを明らかにした。遺伝子異常が修復されるG1期の障害が、卵巣癌化に関与していることを証明し、論文に発表した。 2. ヒト上皮性卵巣癌細胞株をFSHにより刺激した系と刺激しない系で培養し、Differential Display法(DD法)により発現に差のある遺伝子25個をサブクローニングした。しかし,すべてが擬陽性であり,DD法の限界によるものと解釈せざるを得なかった.しかし,同様の手法を用いて子宮内膜癌細胞株を用いて行った実験では,エストロゲン刺激によって細部増殖の刺激される細胞に特異的に高発現する2つの遺伝子のクローニングに成功した.1つはdouble-strand DNA break repair geneであったが,もう1つは,mouse E46 LIKE geneで,機能未知の遺伝子であった.現在機能を解析中であり,これを待って論文とする. 3. 卵巣癌組織と正常組織のTGF-βシグナル伝達系に関わる分子の変異について検討した.TGF-βtype1及びtype2 receptor,その下流のシグナルトランスダクションに関連する蛋白、Smad2,Smad3,Smad4の変異を解析したところ,世界で初めてSmad3の点突然変異例を発見し,投稿準備中である.頻度的にはSmad遺伝子群の変異は卵巣癌化機構との関わりは少ないことが示唆された.TGF-β type1 receptorの発現が極めて低あるいは無発現が卵巣癌の約25%に見られ,卵巣癌のTGF-β細胞増殖抑制制御からの逸脱の原因であることが明らかとなった.投稿準備中である. 4. 子宮内膜癌とDNA修復遺伝子の一つであるhMTH1遺伝子の変異との関わりについて検討した.子宮内膜癌に於けるhMTH1遺伝子の変異は,すでに報告されている多型が約24%に認められた.この多型に関しては熱安定性が野生型に比べて劣るとの報告があり,癌化との関与がしされている.この成果はCancer Researchに投稿し,採択を待っている.
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Research Products
(1 results)