1997 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素(NO)情報伝達系による卵胞発育・閉鎖の調節機構の分子的解明
Project/Area Number |
09671666
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢野 哲 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90251264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百枝 幹雄 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50221627)
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Keywords | 一酸化窒素 / 一酸化窒素合成酵素 / 卵胞発育 / 卵胞閉鎖 / アポトーシス / 顆粒膜細胞 / 卵巣 |
Research Abstract |
1.pregnant mare serum gonadotropin (PMSG)を投与した25日令幼若雌ラットの卵巣における誘導型NO合成酵素(iNOS)のmRNAのレベルは6時間後に一旦低下するが、その後再び上昇し48時間後には元のレベルに復することが、Northern blot法により確認された。 2.正常性周期およびPMSG投与により過排卵処理した25日令幼若雌ラット卵巣組織において、iNOSのmRNA・タンパクの発現がin situ hybridization法あるいは免疫組織化学法により確認された。iNOSは大部分の未熟卵胞(一次卵胞、二次卵胞、初期三次卵胞)の顆粒膜細胞に発現しており、卵胞腔を形成するレベルの成熟卵胞には認められなかった。莢膜細胞には、iNOSの発現はほとんど認められなかった。また、卵細胞にiNOSの発現は認められなかった。 3.ラット卵巣顆粒膜細胞培養系において、tumor necrosis factor α、interleukin-1β、interferon-γの存在下で、iNOSのmRNAの発現がNorthern blot法により確認された。その発現量は、三種のサイトカインが共存した場合が、単独あるいは二種共存の場合より多かった。これらのサイトカインは、卵巣内にその存在が既に報告されているものである。 以上の結果より、顆粒膜細胞においてiNOSにより合成されるNOが卵胞発育に関与する可能性のあることが示唆された。
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