1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671674
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 卓也 京都大学, 医学研究科, 助手 (90283598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 浩 京都大学, 医学研究科, 講師 (30252456)
佐川 典正 京都大学, 医学研究科, 助教授 (00162321)
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Keywords | 着床 / CD9 / 絨毛 / 浸潤 / インテグリン / 単クローン抗体 |
Research Abstract |
胚の着床及び胎盤形成の過程では,ヒト絨毛細胞は子宮内膜上皮に一過性に接着した後、脱落膜組織に浸潤し、その様式は癌細胞浸潤のそれと類似していることが知られている。しかしながら通常の絨毛浸潤は母体子宮筋層近くの脱落膜組織内で停止し、妊娠初期に認められる絨毛細胞の浸潤能は妊娠中期以後の絨毛細胞でほとんど認められない。即ち、絨毛浸潤は癌浸潤と異なりその深度及び時期に応じて浸潤能が強く抑制されている。この様な絨毛細胞における浸潤停止機構の解明は、絨毛性疾患、妊娠中毒症や癒着胎盤などの絨毛浸潤の異常に関連する疾患の病態解明並びに治療を考える上で重要な課題であると考えられるが、その機構および制御因子に関してはほとんど解明されていない。最近我々は白血球分化抗原の一つであるCD9分子が脱落膜と接して浸潤を停止しているExtravillous trophoblast(EVT)に特異的に強く発現しており、妊娠後期の卵膜から採取したEVTの培養系に抗CD9抗体を作用させたところ、その細胞浸潤能が亢進することが観察された。本研究ではCD9分子の絨毛細胞の浸潤に対する作用機序を詳細に検討した。 まず妊娠後期の卵膜から採取したEVT及び絨毛細胞株BeWoから得た蛋白に対し抗CD9抗体を用いた免疫沈降法を行い、共沈したCD9分子に結合する分子をWestern blott法により検討したところ、EVT及び絨毛細胞株BeWoにおいてはIntegrinα3及びα5がCD9分子と結合していることが明らかになった。次にBeWo細胞にIntegrin α3或いはα5に対する中和抗体を添加したところIntegrin α3及びα5の機能を抑制することによりBeWo細胞の浸潤能が抑制されることが判明した(In vitro invasion assay)。更に、抗Integrin中和抗体により浸潤能の抑制されたBeWo細胞に抗CD9抗体を添加すると抗Integrin α3中和抗体により抑制されたのBeWo細胞の浸潤能が回復し、一方抗Integrin α5中和抗体により抑制された細胞浸潤能は回復しなかった。 以上の結果より、絨毛細胞の浸潤に深く関与するCD9分子はIntegrin α3及びα5に結合しており、CD9分子はIntegrin α5を介して浸潤制御機構に関与していることが示された。現在、CD9分子発現陰性の絨毛細胞株にCD9cDNAを強制発現させることにより、CD9分子の絨毛浸潤における機能を解析中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hiroshi Katsuragawa: "Monoclonal antibody against phosphatidylserine inhibits in vitro human trophoblastic hormone production and invasion." Biology of Reproduction. 56. 50-58 (1997)
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[Publications] Hirohiko Watanabe: "Bcl-2 and Fas expression in eutopic and ectopic human endometrium during the menstrual cycle in relation to endometrial cell apoptosis." American Journal of Obstetrics and Gynecology. 176. 360-368 (1997)
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[Publications] Shinya Yoshioka: "Membrane-bound carboxypeptidase is expressed on human ovarian follicles and corpora lutea of menstrual cycle and early pregnancy." Human Reproduction. (発表予定). (1998)