1997 Fiscal Year Annual Research Report
子宮体部上皮性非上皮性混合腫瘍の発生起源の解明と遺伝子異常の解析
Project/Area Number |
09671678
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
榎本 隆之 大阪大学, 医学部, 助手 (90283754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千森 弘子 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
倉智 博久 大阪大学, 医学部, 講師 (40153366)
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Keywords | 子宮癌肉腫 / クロナリティー / K-ras / p53 / HUMARA |
Research Abstract |
子宮癌肉腫は、同一腫瘍内に癌成分と肉腫成分が同時に存在した多種多様な組織像を示す腫瘍である。発生起源には従来より3つの説、すなわちcollision theory、combination theory、composition theoryが提唱されているが、これらの説の真否については解明されていなかった。本研究では、25例の子宮癌肉腫を対象とし、これらにおける発生起源を分子生物学的手法を用いることにより解明することを目的とした。 クロナリティ解析については、子宮癌肉腫の癌成分と肉腫成分から別々に抽出したDNAを用いて、Andorogen Receptror(AR)遺伝子のメチル化による不活化パターンを利用して解析した。癌と肉腫で不活性パターンが異なった症例は3例で、これらは癌と肉腫がそれぞれ独立して発生していること、即ちcollision theoryに基づくことが解明された。悪性化に関与する遺伝子変化については、癌抑制遺伝子p53と癌遺伝子K-rasの解析を行い、それぞれの遺伝子変異の頻度は25例中8例と25例中6例であった。AR遺伝子の不活化パターンおよびp53、K-rasの遺伝子変異が癌と肉腫で一致した場合は、単一細胞から腫瘍が発生したというcombination theoryに基づいて発生した腫瘍であることが強く示唆された。本研究では、分子生物学的解析により、子宮癌肉腫の発生起源は、約85%はcombination theoryに基づくが、一部の子宮癌肉腫は、collision theoryに基づくことを解明した。 以上のことにより、本研究は、子宮癌肉腫の悪性化に関与する遺伝子変化を解析するとともに、世界に先駆けて子宮癌肉腫の発生起源を解明した。本研究で用いた手法により、子宮癌肉腫の個々の症例における発生起源を明らかにすることが可能になり、将来的には、本腫瘍の治療の個別化が可能になると考えられた。
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