Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本郷 淳司 岡山大学, 医学部附属病院, 助手
宮木 康成 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (10273989)
児玉 順一 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (90263582)
上村 茂仁 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (90281154)
奥田 博之 岡山大学, 医学部, 助教授 (30033286)
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Research Abstract |
3種の子宮頚癌細胞株に対し実験を行った.HeLa株は,HPV18陽性,SiHa,Caski株はHPV16陽性子宮頚癌細胞株である.まず,それぞれの細胞株の増殖のIGF-1依存性を検討するため,無血清培地中,あるいはIGF-1添加(0.2ng/ml,2ng/ml,20ng/ml)での増殖曲線を,10%血清添加の場合と比較した.IGF-1単独添加(2ng/ml,20ng/ml)でも10%血清添加の約50%の増殖が得られ,それぞれの細胞株でのIGF-1 Receptorの発現が示唆された.次に,合成antisense oligodeoxynucleotideによる細胞増殖抑制につき検討した.antisense oligodeoxynucleotideは,prepro IGF-1Rの翻訳開始部位20bpに対応する部位のフォスフォロチオエ-ト型を標準的な40μg/ml濃度で使用した.また対照にはsenseには配列を用いた.IGF-1添加(10ng/ml)培地での増殖に対する細胞増殖抑制効果を期待したが,antisense oligo添加の場合も,対照のsense oligoと同等の効果しか得られず,oligo自体の細胞毒性と判断した. 次に,IGF-1R antisense RNA 産生plasmid導入を行った.IGF-1R antisense RNA産生plasmidは,pUC18をvectorとして,Heat shock protein promotorのcontroll下にsignal sequenceを含むIGF-1R proreceptorをコードするRNAに対応する約350bpのantisense RNAおよびコントロールとしてのsense RNAを供給すべくデザインされている.このconstructをHeLa細胞株に導入し,Geneticin selection下にtransformantを得た.各クローンを無血清培地中にて72時間培養後,cell lysatesを採取し,Western blotting法にてIGF-1Rの発現を検討したところ,promotor-onである39℃では,offである34℃に比較し,約30%の発現低下をきたしていた.そこで,得られたクローンにおけるトランスフォーメーション能の変化を検討すべく,軟寒天培地でのコロニー形成実験を行った.しかし,ここでもやはり,各クローンでのコロニー形成能の低下はまったく観察されなかった. 以上のように,卵巣,脳腫瘍,前立腺由来の細胞株に対してはかなりの増殖抑制あるいはトランスフォーメーション能の低下をきたしたIGF-1R antisense法が子宮頚癌細胞株ではまったく無効であった.これは,今回用いた細胞株がHPV陽性であるという特殊性に起因していると思われ,HPV陰性子宮頚癌細胞株での同様の実験の必要性が急務であると思われた.
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