1999 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内ウィルス母児感染の防御機構としての胎盤絨毛細胞のアポトーシスに関する研究
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09671702
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
藤野 敏則 鹿児島大学, 医学部, 教授 (90165407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 行博 鹿児島大学, 医学部, 教授 (30038806)
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Keywords | HTLV-I / 母児感染 / 胎盤 / アポトーシス / 感染防御 |
Research Abstract |
平成9年度と平成10年度の研究で、Human T-Iymphotropic virus type I(HTLV-I)キャリア妊婦の胎盤では、非HTLV-Iキャリア妊婦の胎盤に比べ、アポトーシス陽性細胞が有意に多いことを明らかにし、胎盤絨毛細胞のアポトーシスが母体から胎児へのHTLV-I感染を阻止する機構のひとつである可能性を示してきた。ところで、HTLV-Iキャリア、非キャリア間で胎盤のアポトーシス陽性細胞頻度に差がみられることより、HTLV-Iキャリア、非キャリア間で胎盤重量や児の出生体重に差がある可能性が考えられうる。平成11年度はその点につき検討した。 過去9年間に鹿児島大学医学部附属病院産婦人科で分娩した重症妊娠中毒症、糖尿病その他の重篤な合併症のない正期産例のHTLV-Iキャリア妊婦(n=69)と非キャリア妊婦(n=300)を対象とし、胎盤重量、児の出生体重、胎盤重量/分娩時母体体重、児の出生体重/分娩時母体体重、胎盤重量/児の出生体重を比較した。その結果、胎盤重量、児の出生体重をはじめ、いずれも両群間に統計学的有意差はみられなかった。 このことより、HTLV-Iキャリアであることは、その妊娠の胎盤重量、児出生体重には影響を与えないことがわかった。HTLV-Iキャリア、非キャリア間でアポトーシス陽性胎盤絨毛細胞の頻度に差があっても、アポトーシス陽性胎盤絨毛細胞の絶対数がHTLV-Iキャリアにおいても少ないために、その胎盤重量、児体重に影響を与えないものと考えられる。
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[Publications] 藤野敏則: "胎盤における胎児へのウィルス感染阻止機構"臨床免疫. 31(6). 687-691 (1999)
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[Publications] Toshinori Fujino: "Apoptosis in placentas from human T-lymphotropic virus type I-seropositive pregnant women"Obstetrics and Gynecology. 94(2). 279-283 (1999)