1999 Fiscal Year Annual Research Report
「GnRH pulse generatorの調節機構についての検討」
Project/Area Number |
09671704
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
近藤 芳仁 横浜市立大学, 医学部・附属病院, 講師 (90244441)
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Keywords | GnRH / CRH / 多嚢胞性卵巣症候群 |
Research Abstract |
多嚢胞性卵巣症候群は排卵障害のなかでその頻度が高く、排卵誘発に際して過剰に反応することにより卵巣過剰刺激症候群や多胎妊娠などの副作用を呈しやすく、一方排卵誘発に難渋する症例も経験し、その病態は未だ十分には解明されていない。我々は多嚢胞性卵巣症候群における視床下部下垂体副腎系の関与についての検討を、hCRHを用いて視床下部下垂体副腎系検査を行うことにより、3群に分類可能であることを解明した。1群は視床下部下垂体副腎系は正常であり、高アンドロゲン血症は卵巣型のことが多く、排卵誘発、それによる妊娠率ともに良好であり、2群はhCRHに対する下垂体のACTHの反応性の亢進により副腎型高アンドロゲン血症を高頻度に合併し、3群はCRHの視床下部での分泌亢進が見られ、クッシング様といえる病態であり、副腎型高アンドロゲン血症、肥満を高頻度に認めた。また、2群、3群は排卵誘発に抵抗する症例が多く、妊娠率も低いことが判明した。また、超音波断層法による卵巣の多嚢胞性卵巣パターンにはgeneral cystic pattern(GCP)とperirheral cystic pattern(PCP)が存在し、1群でPCPの頻度が、2、3群でGCPの頻度が高く、副腎機能が卵巣における多嚢胞性パターン関与している可能性が高いことが判明した。さらに、腹腔鏡におけるレーザーによる多孔術による排卵誘発効果はPCPで良好であった。多嚢胞性卵巣症候群ではLHの分泌が亢進し、高振幅のLHパルス状分泌が特徴とされるが、基礎実験としてCRHがこれに関与している可能性を検討する目的でGnRH cell(GT1-1/GT1-7)を用いたCRHの潅流実験を施行し、CRHがGnRH分泌を亢進したことより、CRHがこの特徴的なパルス状分泌に関与している可能性が示唆された。
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[Publications] Kondoh,Y,Uemura,T,Ishikawa,M,Yokoi,N,Hirahara,F.: "Classification of polycystic ovary syndrome into three types acording to response to human corticotropin-releasing hormone."Fertility and Sterility. Vol.72,No.1. 15-20 (1999)
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[Publications] 村瀬真理子、近藤芳仁、植村次雄、平原史樹: "多嚢胞性卵巣症候群における卵巣超音波所見と視床下部-下垂体-副腎系機能の関係"日本不妊学会誌. 44巻4号. 199 (1999)
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[Publications] 近藤芳仁、植村次雄: "PCO症候群を斬る 病因・病態・副腎皮質の関与"臨床婦人科産科. 53巻5号. 683-686 (1999)
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[Publications] 植村次雄、近藤芳仁: "子宮内膜症 診断/問診、内診、超音波断層法 武谷雄二、青野敏博、麻生武志、中野仁雄、野沢志朗編、新女性医学体系19 子宮内膜症、子宮腺筋症"中山書店. 11 (1999)