1997 Fiscal Year Annual Research Report
顆粒膜細胞増殖に関わる細胞内刺激伝達機構の生化学的並びに分子生物学的研究
Project/Area Number |
09671711
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田辺 清男 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10101916)
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Keywords | 顆粒膜細胞 / 卵胞刺激ホルモン / 増殖 / 細胞周期 / 訓MAP K / C-fos / jun B |
Research Abstract |
顆粒膜細胞の増殖や分化は下垂体から分泌されるゴナドトロピン、特に卵胞刺激ホルモン(FSH)によって主として司られている。本研究ではFSHの顆粒膜細胞における作用機序を解明する目的にて、細胞内刺激伝達経路として考えられるいくつかの経路について、培養顆粒膜細胞にFSH、PKC刺激物質(PMA)、PKA刺激物質(forskolin)等を添加して、種々の細胞内物質の発現を、生化学的にあるいは分子生物学的に検討した。 1.まず、顆粒膜細胞の細胞周期がFSHによって誘導されるか否かを検討した。その結果、FSH添加により約60分以降にM期の細胞が有意に増加することが、フローサイトメトリーにより明らかになった。 2.次にチロジンキナーゼカスケード上にあるmitogen-activated protein kinase(MAPK)の発現について検討した。MAPKの活性をMBPを基質とした燐酸化能として測定した。その結果FSH、PMA、forskolin、さらにEGFのいづれによってもMAPK活性は有意に上昇し、その発現は物質添加5分後に認められ、15分でプラトーとなった。 3.次いで、転写因子であるAP-1を構成するfosとjun family遺伝子の発現を、Northern blot法にて検討した。その結果FSH添加30分よりc-fosとjunBが有意に上昇し、60分をピークとしてその後漸減し、2時間後では前値に回復した。その他のjun family遺伝子はほとんど有意な増加は認められなかった。これらの遺伝子の発現はFSHの濃度依存性に有意に上昇した。 以上の成績より、FSHが種々の生物学的作用を発揮するに際しては、少なくとも細胞内のMAPKやAP-1を介した刺激伝達経路が存在することが強く示唆された。
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