2000 Fiscal Year Annual Research Report
分娩前胎児脳神経障害の発生機序およびその予防に関する研究
Project/Area Number |
09671718
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Research Institution | NIHON UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
正岡 直樹 日本大学, 医学部, 講師 (50199668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永石 匡司 日本大学, 医学部, 助手 (70297810)
高木 健次郎 日本大学, 医学部, 講師 (00216623)
三宅 良明 日本大学, 医学部, 助教授 (20183634)
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Keywords | 胎児脳神経障害 / 臍帯血流遮断 / フリーラジカル / アロプリノール |
Research Abstract |
我々は羊胎仔慢性実験モデルにおいて、間歇的臍帯血流遮断によって胎仔脳組織中にhypoxanthine→xanthine代謝亢進に由来する大量のfree radicalが発生することを証明し、これが脳神経障害の一因となっていることを報告した。そこで本年度はxanthine oxidase阻害剤であるallopurinol(Allo)投与による胎仔脳神経障害発生予防の可能性を検討すべく、Alloの母獣経静脈投与における胎仔血中、脳組織への移行性、free radicalの産生抑制につき検討した。6頭の妊娠羊を用い、胎仔脳深部白質にmicrodialysis probeを設置した慢性実験モデルを作製した。静脈投与用AlloはKannらの原法に準じ作製した。胎仔移行性の検討は4頭において母獣にAlloを400mg/hourの速度で2時間投与し、投与後30分毎に胎仔頚静脈より採血、また脳透析液は3μl/min.で連続的に採取し、Alloとそのactive metaboliteであるoxipurinol濃度をHPLC法にて測定した。また2頭においては3分毎1分間の間歇的臍帯血流遮断時にAllloを投与し、脳透析液中のfree radicalとウミホタルルシフェリンの化学発光を高感度光電子計測装置にて測定した。その結果(1)胎仔血中Allo濃度は緩徐に上昇し、投与後120分で2.43±0.58μg/mlに達した。一方oxipurinolは投与後30分に急増し3.38±0.42μg/mlに達し、以後緩徐に増加した。(2)透析液中のAllo、oxipuhnol濃度は投与後60分で測定可能となり2時間値で各々0.42±0.12μg/ml、0.63±0.22μg/mlとなった。(3)間歇的臍帯血流遮断によって増強された化学発光はAlloの母獣への投与によって完全に抑制され、Alloの胎仔脳組織への良好な移行と、強力なfree radicalの抑制効果が確認された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 大亀幸子,正岡直樹,佐藤和雄: "妊娠ラット子宮-卵巣動脈血流遮断-再灌流による胎仔脳神経障害に関する研究"日大医学雑誌. 59・5. 195-200 (2000)
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[Publications] 田坂友成,正岡直樹,佐藤和雄: "子宮内胎児発育遅延例における胎児行動パラメーターの同期性の解離に関する研究"日大医学雑誌. 59・5. 201-208 (2000)