1998 Fiscal Year Annual Research Report
平衡機能発達と加齢現象における自覚的垂直位の意義に関する研究
Project/Area Number |
09671740
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Research Institution | SHINSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田口 喜一郎 信州大学, 医学部, 教授 (80020874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 浩一 信州大学, 医学部・附属病院, 助手
坂口 正範 信州大学, 医学部・附属病院, 講師
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Keywords | 自覚的垂直位 / 頭部動揺 / 固視能力 |
Research Abstract |
1. 固視機能測定装置の改良 従来の固視機能測定装置は,地磁気センサーを用いてその変化量を測定する方法であったが,磁気を帯びた周囲の装置の影響を受ける恐れがあったので,併設したジャイロセンサーによる測定も可能とし,固視と自覚的垂直位の関係を正確に解析できるように改良した。この改造によって安定した記録が可能となったが,電源を入れてからジャイロセンサーが安定するまで若干時間を要することが分った。 2. 自覚的垂直位と体動揺との関係 一側末梢性前庭障害の患者を,視運動刺激時の体動揺の特徴により,1)体動揺が有意に増大する群(不安定群)と,2)体動揺がほとんど変動しない群(安定群)の2群に分けると,正常者に比して前者の自覚的垂直位は有意に増大しているのに対し,後者は有為差を示さないことが分った。この違いの生理学的意義に関しては,現在検討中である。 3. 自覚的垂直位の年齢との関係 自覚的垂直位は小児期に発達し,加齢現象を経過することが明らかになった。すなわち,正常成人はほぼ1゚以内の誤差であるのに対し,8〜10歳では3°と大きく,また高齢者では正常成人と比較して統計的に有意の差を示さなかったが,大きくなる傾向を示し,また個体差が大きいことが特徴的であった。なお,自覚的垂直位測定中の頭部動揺は,小児と高齢者で大きく,眼運動による追跡能の低下を示唆した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 田口喜一郎: "老人性平衡障害" 耳鼻咽喉科頭頸部外科. 70(5). 39-44 (1998)
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[Publications] 田口喜一郎: "バランスの評価" JOHNS. 14(6). 811-816 (1998)
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[Publications] 田口喜一郎: "めまい・慢性中耳炎の治断と治療" 真興交易医書出版部、東京, 325 (1998)