1998 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸上皮細胞分化関連因子の遺伝子発現と鼻副鼻腔粘膜病態における関与
Project/Area Number |
09671755
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松根 彰志 鹿児島大学, 医学部, 講師 (00253899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平瀬 博之 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (30305130)
西園 浩文 鹿児島大学, 医学部, 助手 (00284878)
黒野 祐一 鹿児島大学, 医学部, 教授 (80153427)
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Keywords | floating culture / 繊毛細胞分化 / H type3 |
Research Abstract |
呼吸上皮において重要な機能を有する繊毛細胞は、一般には基底細胞や分泌細胞から最終的に分化した状態であると言われている。高率に繊毛細胞への分化誘導が可能なfloating culture法を用いて、この細胞分化、繊毛新生過程の機序を解明すべく、この分化過程に特異的なH type3抗原を認識するマーカー作製を試みた。 floating culture法での、繊毛新生開始3日目から5日目の培養細胞を抗原とした単クローン抗体作製を行った。それらの単クローン抗体のうち、floating後0日目の細胞に陰性で3日目に陽性であり、安定して産生される一種類の抗体(RPCS3a)の特性をCellular ELISA、免疫染色、Western blotting,.ELISAを用いて調べた。 培養細胞のRPCS3a免疫染色においては、3日目から14日目において陽性細胞を認めた。また、Cellular ELISAにおいても3日目以降で陽性反応を認めているが、10日目前後の細胞において発現強度のピークを認めた。この10日目前後の培養細胞には、TEMで観察すると、表層部に分泌顆粒を有する細胞の中に多くの中心小体を持った細胞を多数認め、繊毛細胞の前駆細胞であることが伺われた。 Western blottingでは、糖鎖に対する抗体であることを示唆するグローバルなbandを示し、EUSAではH type3抗原という糖鎖抗原に対して高い特異性を示した。 RPCS3aにて認識されるH type3抗原の発現量はCellular ELISAによって、培養細胞の繊毛新生過程により変化し、その分化レベルを反映していることが示された。このことより、H type3抗原は繊毛新生過程における一つの特異的なマーカーとして考えられる。このH type3抗原の検索を進めることにより、今後、繊毛細胞の分化の機序を解明することが可能になると考えられる。
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Research Products
(1 results)