1997 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部癌におけるCD44変異体の発現と転移能・予後との相関に関する研究
Project/Area Number |
09671757
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤井 正人 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70129633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅家 稔 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20255540)
今西 順久 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80255538)
徳丸 裕 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60245579)
松村 保広 国立ガンセンター, 内科, 医員 (90209619)
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Keywords | 頭頸部癌 / 細胞接着分子 / CD44 |
Research Abstract |
細胞表面の膜貫通糖蛋白であるCD44は癌細胞相互の接着や細胞外マトリックスとの接着に関連し転移や浸潤に深く関わると考えられている。我々は本研究でCD44変異体であるV6とV2の頭頸部癌における蛋白レベルでの発現に関して免疫組織学的に検討した。対象は頭頸部偏平上皮癌33例で、その生検組織又は手術摘出標本を用いた。臨床像としてUICC分類による臨床病期分類を用い、組織型は高分化、中分化、低分化の3段階に分類した。免疫染色での染色パターンは癌部の染色された細胞の割合で陰性、1+、2+、3+の4段階に分類した。その結果、CD44v6は陰性8例、1+が2例、2+が5例、3+が18例で75.8%に発現していた。CD44v2は陰性13例、1+が8例、2+が5例、3+が7例で60.6%に発現していた。CD44v6,v2発現の臨床病期との関連はみられなかった。組織型ではCD44v6は3+が高分化で7例、中分化で9例にたいし低分化では2例と減少する傾向がみられた。CD44v2では3+が高分化で3例、中分化で4例にたいし低分化では0例で、陰性例は高分化で2例、中分化で4例、低分化では7例とKruskal-Wallisの検定で有意差(P=0.03)をもって低分化におけるCD44v2の発現が低下していた。更にCDv6陰性例8例中6例が、またCD44v2陰性例13例中10例がリンパ節転移陽性であり、CD44陽性例と比較して転移陽性例が多くみられた。以上より、頭頸部偏平上皮癌においてはCD44v2の発現の低下は分化度の低下と有意に相関する事が認められた。更にCD44発現の低下は転移陽性例が多いことからCD44発現が転移の抑制に働いている可能性が示唆された。
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