1997 Fiscal Year Annual Research Report
咽頭癌に対する分子生物学的アプローチによるサイクリンD1と予後との関連
Project/Area Number |
09671759
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
吉田 知之 東京医科大学, 医学部, 助教授 (10201857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸岡 秀祐 東京医科大学, 医学部, 助手 (40246301)
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Keywords | CyclinD1 / 咽頭癌 / In situ PCR. |
Research Abstract |
p53蛋白からp21遺伝子へと進む経路とRb遺伝子がG1-S期移行の抑制に働くのをリン酸化して不活化する経路の接点にCyclinD1があり、この増幅が不死化のキ-ポイントであると考えた。 1.咽頭癌患者の未治療の生検材料を用いてRT-PCRにより得られたHuman cDNAライブラリーを作成した。これより作成したCyclinD1のantisenceをprobeとしてIn situ hybridizationを行いm-RNAの増幅を蛍光顕微鏡にてFISH画像解析システムを用いて染色体レベルで検索することにより発現部位を固定した。この発現と予後をretrospectiveに評価し、細胞組織学的悪性度および癌転移の物理的防御機構の相関を調べた。 その結果、咽頭癌の35.4%に過剰発現がみられた。病期、転移、予後との関係をみると病期では進行するほど、リンパ節転移ではNスコアーが増すほど過剰発現が多くみられる傾向があった。またHuman cDNAライブラリーを再発時に作成したものは過剰発現がみられたことから、細胞内の染色体DNAがより損傷を受けたときに、よりp53が増加し、それを受けてp21量が増加する。これに対応してp21が細胞周期のG1期からS期に必要なCyclin/Cdkに結合してその活性を阻害し、DNAに損傷をうけた細胞がS期へ移行を阻止するcheck pointが破綻した結果と考えた。野生型P53はP21の発現を誘導してCyclin/Cdkの活性を阻害することにより細胞周期の進行を止めていると考えられるが、変異型p53ではp21の発現は誘導されず、細胞周期の進行に抑制がかからなくなり癌細胞の増殖に促進的に作用するためと考えた。 2.臨床材料を直ちに処理し、In situ PCR法により切片上でCyclinD1の発現を検出し臨床の場へとフィードバックすることによりハイリスク群の指標とした。
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