1997 Fiscal Year Annual Research Report
蝸牛有毛細胞の収縮における細胞内情報伝達機構と聴覚伝達機構との関係
Project/Area Number |
09671773
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
大西 純夫 関西医科大学, 医学部, 助手 (80257914)
|
Keywords | 蝸牛・外有毛細胞 / 塩素イオンチャネル / カリウムチャネル / カルシウム・カルモデュリンカイネースII / アセチルスフィンゴシン / カリクリンA / 遅い収縮 |
Research Abstract |
平成9年度までに、電気刺激による内耳蝸牛外有毛細胞の遅い収縮には、ω-コノトキシン感受性PまたはN型カルシウムチャネルを介する細胞外カルシウムイオンの流入にて活性化される、BK型カリウムチャネルよりのカリウムイオンの流出とフロセミド感受性塩素イオンチャネルよりの塩素イオンの流出が各々独立して関与することを解明している。さらにBK型カリウムチャネルの活性化にカルシウム・カルモデュリンカイネースIIが関与していることを解明している。平成9年度は、前記の実験をさらに進めた。蛋白脱リン酸化酵素阻害薬:カリクリンA,オカダ酸,カンタリジン,デルタメスリン,ベンジルホスホン酸のうち、タイプ1と2A蛋白セリン/スレオニン脱リン酸化酵素の阻害薬であるカリクリンAにより、外有毛細胞の電気刺激による収縮および細胞内塩素イオン濃度の変化は消失した。この阻害作用は、カリウムイオンコンダクタンスを高めるバリノマイシン存在下やカルシウムイオンコンダクタンスを高めるA23187存在下でも認められたが、塩素イオンの透過性を高めた状態では認められなかった。また蛋白セリン/スレオニン脱リン酸化酵素を活性化するNアセチルスフィンゴシンにより、外有毛細胞の電気刺激による収縮および細胞内塩素イオン濃度の変化は消失した。この作用は、バリノマイシンやタイプ2A蛋白脱リン酸化酵素阻害薬であるオカダ酸存在下では認められなかった。今回の結果より外有毛細胞の収縮に関与するカリウムチャネルの活性化にはオカダ酸感受性の蛋白脱リン酸化が抑制的に関与し、また塩素イオンチャネルの活性化にはカリクリンA感受性の蛋白脱リン酸化が関与していることが示唆された。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] M.Minamino, M.Hara, S.Ohnishi, et al.: "Effects of protein Kinase and phosphatase inhibitors on slow shortening of gunio pig cochlear outer hair cells" Brain Research. 781. 275-283 (1998)