1997 Fiscal Year Annual Research Report
ブドウ膜炎の発症極早期における炎症関連因子の検討とその治療応用について
Project/Area Number |
09671793
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
万代 道子 京都大学, 医学研究科, 助手 (80263086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷原 秀信 京都大学, 医学研究科, 講師 (60217148)
柏井 聡 京都大学, 医学研究科, 講師 (50194717)
高木 均 京都大学, 医学研究科, 助手 (70283596)
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Keywords | エンドトキシンぶどう膜炎 / 細胞浸潤 / P-セレクチン / E-セレクチン / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
今年度はエンドトキシンぶどう膜炎におけるセレクチンの関与について、重点的に研究を行った。P-セレクチンは通常血管内皮内に貯留されており、何らかの刺激下に細胞表面に発現する。免疫組織学的に、LPS投与15分後および3から5時間後に虹彩毛様体の血管内皮で2峰性に発現がみられた。さらに、P-セレクチンの中和抗体をLPSと同時に投与すると、24時間後の炎症極期の前房への細胞浸潤が有意に抑制された。また、LPS投与6時間後に中和抗体を投与しても、細胞浸潤の抑制効果はみられなかった。一方、E-セレクチンは転写レベルで発現調節がなされており、刺激下に新たに合成されてくることが知られているが、本ぶどう膜炎モデルにおいては、免疫組織学的にはLPS投与7時間後より虹彩、毛様体の血管内皮に発現がみられ、その発現は24時間後まで維持された。さらに、その発現をメッセージレベルでPCRにより定量すると、LPS投与6時間後に虹彩毛様体、および網膜において発現のピークがみられ、さらに前眼部では24時間後、網膜では48時間後に発現量はもとの量にまで戻った。この時間は、前眼部、網膜それぞれにおける炎症の極期の時間と一致していた。また、P-セレクチンと異なり、E-セレクチンは、炎症発症後のどの段階で中和抗体を投与しても、その後の細胞浸潤を有意に抑制した。これらの結果より、P-セレクチンは細胞浸潤の開始に、E-セレクチンは細胞浸潤開始後、その維持に関与していることが推察された。さらに、両セレクチンの中和抗体を投与すると、細胞浸潤は90%以上抑制された。これらのことから、将来的、臨床的には、P-セレクチン阻害剤はぶどう膜炎の炎症の予防に、E-セレクチンは炎症発症後の炎症の軽減、寛解に有効である可能性が考えられた。
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Research Products
(1 results)