1998 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節リュウマチ角膜におけるサイトカイン産生異常と創傷治癒遅延
Project/Area Number |
09671802
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Research Institution | EHIME UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岡本 茂樹 愛媛大学, 医学部・附属病院, 講師 (50274329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 裕一 愛媛大学, 医学部, 教授 (00116005)
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Keywords | 角膜創傷治癒 / RAモデルマウス / IL-1β / IL-1レセプターアンタゴニスト / MRL / lpr / 上皮菲薄化 |
Research Abstract |
1) 慢性関節リウマチモデルマウス角膜におけるIL-1βの発現 慢性関節リウマチ(以下RA)における関節破壊に深く関与するIL-1βがRAの角膜潰瘍形成に関与するか否かを検討する目的で、RAモデルマウスであるMRL/lprを用い角膜におけるIL-1β発現を半定量RT-PCRと免疫組織科学を用い検討した。この結果、MRL/lprにおいて対照マウスと比べRNA,タンパクレベル双方で有意にIL-1βの発現が亢進していた。 2) RAマウス角膜創傷治癒正常化の試み MRL/lprマウスにエキシマレーザー角膜表層切除を行い、角膜創傷治癒速度をビデオカメラと画像解析を用いて検討した。この結果、MRL/lprマウスでは対照に比べ創傷治癒速度が有意に遅延したが、IL-1レセプターアンタゴニスト投与により、創傷治癒速度が有意に促進された。このときMRL-lprでは持続してIL-1mRNAが発現し、met alloprot ainase 1(MMP-1)も同じく持続的に発現していた。 3) RA患者の涙液中サイトカイン定量 ヒトRA患者と健康成人の涙液を採取しIL-1β濃度をELISA法で検討した。RA患者涙液中には平均2370pg/mlのIL-1βが検出されたのに対し、正常者では平均82.7pg/mlに留まっていた。 4) リウマチ角膜における形態学的異常の可能性 MRL/lprにおけるIL-1βを中心としたサイトカイン異常が角膜組織に与える影響について、形態学的に検討した。角膜を光学顕微鏡および透過型電子顕微鏡により観察した。この結果、MRL/lprでは対照に比べ角膜上皮細胞層が角膜全層に占める割合は0.184であるのに対し、対照では0.278でMRL-lprで有意に上皮の菲薄化がみられ、また上皮基底膜細胞層の細胞密度が低下し円形から立方形を示し翼細胞層の形成が不明瞭となっていた。
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