1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671805
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
雨宮 次生 長崎大学, 医学部, 教授 (60026862)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ブトー イムラン・アハマ 長崎大学, 医学部, 助手 (20284680)
北岡 隆 長崎大学, 医学部附属病院, 講師 (80234235)
|
Keywords | クロム / 糖尿病 / 糖尿病性網膜症 / 眼 / 網膜 |
Research Abstract |
本年度はクロム欠乏飼料を作るために、飼料の成分となる薬品を44種類購入し、欠乏飼料を製造中である。ラットにクロム欠乏を起こさせることに成功すればラットには糖尿病が起こり、糖尿病性網膜症が惹起されると思われるので、その為の観察準備としてOLETFラット(自然発症糖尿病ラット)を用い、その網膜を透過電子顕微鏡と走査電子顕微鏡で観察して次の結果をえた。生後10カ月で網膜血管は、鋳型を走査電子顕微鏡で観察すると著しく蛇行し、透過電子顕微鏡で観察すると、網膜毛細血管内皮細胞の変性と基底膜の肥厚がみられた。これらは糖尿病性変化と考えられた。しかし、10カ月の時点では白内障の合併はない。OLETFラット同様に自然発症糖尿病ラットであるWBN/kobラットでは、生後14カ月で白内障が生じた。これを走査電子顕微鏡で観察すると、水晶体前嚢下、後嚢下に混濁が見られ、水晶体線維が変性し、走行が乱れていた。これも糖尿病の合併症としてのヒトの白内障に類似していた。一方、この網膜の動脈には変化が生じており、網膜血管の変化は、糖尿病性血管症の像を呈した。しかしながら、発症が離乳期以前にあること、変化がヒト糖尿病網膜症とは異なること、動物が糖尿病を発症する以前から網膜変化が始まっていることから、糖尿病によるものではなく、遺伝性の変性症であると考えられた。以上のように、クロム欠乏で糖尿病が発症すれば、その合併症である糖尿病網膜症や白内障を研究する準備はととのったといえる。
|