1997 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性眼合併症の病因解明とその発症予想因子の解明
Project/Area Number |
09671811
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
横井 則彦 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (60191491)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 茂 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (30116024)
平野 眞也 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (10181174)
|
Keywords | アトピー性皮膚炎 / MBP / 白内障 / 網膜剥離 / 好酸球 |
Research Abstract |
好酸球由来の細胞障害性蛋白である major basic protein(MBP)は、アレルギー疾患における組織障害と関連していることが示されている。そこで、MBPとアトピー性眼合併症との関連について検討した。アトピー性皮膚炎患者の内眼手術時に前房水(100〜200μl)を採取し(15例18眼)、radioimmunoassay(Wassomらの二抗体競合法)にてMBP濃度を測定した。また、5例5眼からは、白内障手術時に得た水晶体前嚢片を試料として抗ヒトMBPモノクローナル抗体(BMK‐13)を用いた免疫組織染色により前嚢水晶体上皮におけるMBPの沈着の有無について検討した。対象としては、老人性白内障の手術時に採取した前房水(15例15眼)および前嚢(3例3眼)を用い、同様の検討を行った。その結果、房水中のMBPは、白内障手術眼では、12眼中4眼(33%)において検出(11〜70ng/ml)されたが、老人性白内障では検出されずその頻度に有意差を認めた(p=0.028)。また、アトピー性白内障では、水晶体前嚢の上皮細胞にMBPの沈着を5例(100%)で認めたが、老人性白内障ではMBPの沈着は見られずその頻度に有意差を認めた(p=0.0179)。また、網膜剥離手術眼でも、6眼中2眼(33%)の前房水にMBPが検出(13,374ng/ml)された。以上の結果から、前房水中のMBPがアトピー性眼合併症(白内障および網膜剥離)の発症に関与している可能性が示唆された。さらにアトピー性皮膚炎患者において眼合併症の発症を予測しうる因子を明らかにすることを目的として、皮膚科外来で経過観察されているアトピー性皮膚炎患者を対象として、前房水中のタンパク濃度を非侵襲的にモニターするレーザーセルフレア-メトリーおよび、非接触のスペキュラーマイクロスコープを用いた内皮細胞の解析を行ってきた。これらの指標は、眼内へのMBPの漏出による慢性的な組織障害をモニターするための指標となりうる可能性があるが、現在までの対象では、白内障を合併した皮膚炎症例が比較的少ないために有意な結果が得られるまでには至っていないため、引き続きデータを蓄積している。
|
Research Products
(1 results)