1998 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性眼合併症の病因解明とその発症予想因子の解明
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09671811
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
横井 則彦 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (60191491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 茂 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (30116024)
平野 眞也 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (10181174)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 前房フレア値 / 白内障 / 血清LDH値 / 総IgE値 / 顔面皮疹 / 末梢血好酸球 |
Research Abstract |
アトピー性白内障の病因については、諸説があるが、我々は、これまでの研究の結果から、好酸球由来組織障害性蛋白であるmajor basic proteinが血液房水柵から眼内に侵入、白内障を引き起こしている可能性を考えてきた。一方、アトピー性白内障眼では、血液房水柵の障害を反映すると考えられるフレア値が上昇していることが報告され、我々が考えてきたように、アトピー性皮膚炎では、皮膚と同様、毛様体にも障害が生じ、血液房水柵が障害されて白内障の発症に関与していることが推測される。そこで我々は、アトピー性皮膚炎患者の前房フレア値およびアトピー皮膚炎に関連する全身の諸因子と白内障との関連について検討した。 これまでに検討した対象は、アトピー性皮膚炎患者44例76眼であり、手術例は除外した。前房フレア値、、アトピー性皮膚炎の指標としては、抹消血好酸球数、血清LDH値、総IgE値、顔面皮疹および体幹皮疹罹患期間を設定し、白内障非合併例と中等度以上の白内障合併例とで比較した。その結果、白内障非合併例は、32例59眼で、視力0.4以下の中等度以上の白内障合併例は、8例12眼であった。前房フレア値は非白内障眼では、4.4±0.7(pc/msec、平均値±標準偏差)、白内障眼では、5.6±1.7で、白内障眼で有意に高かった(p<0.01).また、その他の指標を白内障非合併例と合併例で比較すると、総IgE値、LDH値、顔面皮疹罹患期間が合併例で有意に高かった(それぞれ、p<0.05、p<0.0001.p<0.001).以上の結果から、アトピー性皮膚炎患者では、顔面の皮膚の障害とともに毛様体のバリアー機能も低下してくると考えられた。また、顔面皮疹の罹患期間が長い患者では、白内障の発症に注意する必要があると考えられた。現在、以上の検討をさらに進め、眼内の慢性的な組織障害をモニターするための指標としての角膜内皮細胞の解析を行うため、さらに症例を積み重ねながら引き続きデータを蓄積している。
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[Publications] 平野眞也・安野洋一・横井則彦: "アトピー性皮膚炎の脱ステロイド療法と白内障" アレルギーの臨床. 18(9). 727-733 (1998)
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[Publications] Yokoi K, Yokoi N, Kinoshita S: "Impqirment of ocular surface epithelium barrier function in patients with atopic dermatitis" British Journal of Ophthalmology. 82(7). 797-800 (1998)