1997 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障の発症機序および治療に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
09671813
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
田原 昭彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (90117169)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 敏昭 九州大学, 医学部, 講師 (30205140)
|
Keywords | 隅角発育異常緑内障 / TIGR蛋白 / 細胞外マトリックス / プロテオグリカン / 免疫組織化学 / ヒアルロン酸 / 隅角線維柱帯 / 血液透析 |
Research Abstract |
1.副腎皮質ステロイド薬の投与で産生される特異的な蛋白で,家族性の緑内障でこの蛋白の産生に関与する遺伝子異常が報告されているTIGR蛋白の隅角組織における分布を免疫組織化学的に調べた。その結果,隅角発育異常緑内障晩発型および落屑緑内障眼で,隅角線維柱帯に陽性所見が見られ,TIGR蛋白がこれらの緑内障眼の隅角線維柱帯に存在することが明らかになった。 2.腎不全患者に対する血液透析中に眼圧が上昇する症例があることが知られているが、その眼圧上昇の機序は不明である。そこで,血液透析中の眼圧,血漿浸透圧,血液炭酸ガス分圧,血圧の変化を経時的に調べた。その結果,房水流出障害が存在する眼で,透析中に血漿浸透圧が低下すると眼圧が上昇した。高浸透圧利尿薬を点滴しながら透析を行って,血漿浸透圧の低下を防ぐと眼圧は上昇しなかった。房水流出障害がない眼では,血漿浸透圧が低下しても眼圧は上昇しなかった。血液炭酸ガス分圧および血圧の変化と眼圧変化との間に相関は見られなかった。以上の結果から,血圧透析中の眼圧上昇は,房水流出障害がある眼において,血漿浸透圧が急激に低下することで起こる。高浸透圧利尿薬の点滴などで血漿浸透圧の低下を防げば,眼圧上昇を予防できることが明らかになった。 3.隅角線維柱帯におけるヒアルロン酸の分布を調べる目的で,正常人眼の隅角組織を抗ヒアルロン酸抗体で染色した。その結果は陰性であった。隅角にヒアルロン酸が分布することは知られており,固定法などを検討して再検の予定である。 4.前房隅角の線維柱細胞の起源を調べる目的で,ラットの隅角を抗線維芽細胞抗体で染色して,免疫組織学的に調べた。その結果,線維柱帯部に明らかな陽性所見は見られなかった。
|
-
[Publications] Kubota T., Khalil A.K. Tawara, A., Zhamg, X.: "Double staining of proteoglycans and the HNK-1 carbohydrate epitope in pseudoexfoliation material" Current Eye Research. 17 (1). 60-64 (1998)
-
[Publications] Tawara, A., Kobata, H. Fujisawa, K., Ohnishi, Y.: "Mechanism of Intraocular Pressure Elevation during Hemodialysis" Current Eye Research. (印刷中).