1999 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障の発症機序および治療に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
09671813
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
田原 昭彦 産業医科大学, 医学部, 教授 (90117169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 敏昭 九州大学, 医学部, 講師 (30205140)
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Keywords | TIGR蛋白 / TIGR遺伝子 / 細胞外マトリックス / 免疫組織化学 / 隅角発育異常緑内障 / ステロイド緑内障 / ラミニン / IV型コラーゲン |
Research Abstract |
1.TIGR蛋白は副腎皮質ステロイド薬の投与で産生される特異的な蛋白で、家族性の緑内障ではこの蛋白の産生に関与する遺伝子に異常があることが報告されている。今回、隅角組織におけるTIGR蛋白の分布、および他の細胞外マトリックスとの関係を免疫組織化学的に調べた。その結果、隅角発育異常緑内障晩発型および落屑緑内障の隅角線維柱帯、および正常隅角線維柱帯で、光学顕微鏡の二重免疫染色によりTIGR蛋白とVI型コラーゲンとが同じ部位に分布することが示された。さらに、電子顕微鏡レベルの二重免疫染色を行ったが、TIGR蛋白とVI型コラーゲンとが同じ部位に存在するような所見は現在まで得られていない。 2.ステロイド緑内障の発症機序を明らかにする目的で、サルの片眼に副腎皮質ステロイド薬を結膜下注射した。他眼はコントロールとした。投与後、眼圧を経時的に測定した。ステロイド薬を数回投与して約半年経過をみたが、眼圧は上昇しなかった。両眼球を摘出し、組織標本として保存した。今後、線維柱帯組織などを形態学的、免疫組織学的、組織化学的に調べる予定である。 3.正常隅角組織の凍結標本を抗ラミニン抗体、抗IV型コラーゲン抗体で染色して、これらの細胞外マトリックスの分布を免疫組織化学的に調べた。その結果、ラミニンおよびIV型コラーゲンが隅角線維柱帯に広く分布することが明らかになった。今後、隅角発育異常緑内障、ステロイド緑内障、開放隅角緑内障眼の隅角線維柱帯におけるこれらの物質の分布を調べる予定である。
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[Publications] Ueno,A.,Tawara,A.,Kubota,T.,Ohnishi,Y.,et al.: "Histopathological changes in iridocorneal angle of inherted glaucoma in rabbits"Graefe's Arch Clin Exp Ophthalmol. 237(8). 654-660 (1999)
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[Publications] 上村穂高,張野正誉,田原昭彦: "両眼超音波白内障手術後に原因不明の持続性眼圧上昇を来した1例"あたらしい眼科. 16(10). 1409-1412 (1999)
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[Publications] 猪俣 孟,田原 昭彦: "眼の組織・病理アトラス157:前部線維柱帯と後部線維柱帯"臨床眼科. 53(12). 1848-1849 (1999)