1997 Fiscal Year Annual Research Report
人工抗体/DNA複合体を用いた悪性黒色腫の遺伝子治療
Project/Area Number |
09671815
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大竹 雄一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30233159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 信義 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50162706)
高柳 淳 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80245464)
真島 行彦 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (40157186)
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Keywords | 悪性黒色腫 / 眼内腫瘍 / 遺伝子治療 / モノクローナル抗体 / 人工一本鎖抗体 / イムノジーン |
Research Abstract |
眼悪性黒色腫に対する遺伝子治療の可能性を検討するため、上皮増殖因子(EGF)レセプター特異的なモノクローナル抗体(B4G7)を、ポリリジンを介してDNAと結合させた複合体(イムノジーン)を用いて、EGFレセプター発現細胞に選択的に遺伝子を導入する方法を試みた。自殺誘導遺伝子(HSV-TK遺伝子または大腸菌CD遺伝子)を運ぶイムノジーンを、10^5/cellレベルでEGFレセプターを発現している培養悪性黒色腫細胞(HMV-I、G361)に添加し、6時間後にGCVまたは5-FCを投与して、96時間後に生存細胞を計測した。遺伝子導入のみでは殺細胞効果は認めなかったが、イムノジーンでの遺伝子導入により、GCVや5-FCに対する感受性が濃度依存的に亢進した。特に、HMV-I細胞では、CD導入/5-FC処理により90%以上の細胞が死滅し、少なくとも7日間、細胞数の増加は観察されなかった。さらに、この殺細胞効果は、Fab断片で前処理すると、HSV-TK、CDともに抑制されたことから、イムノジーンによる遺伝子導入がEGFレセプターを介することが確認された(大竹ら、第101回日本眼科学会総会、1997)。 また、HMV-I細胞をCD/イムノジーンと混合した後、ヌードマウス背部皮下に移植し、体重1Kgあたり500mgの5-FCを隔日にマウス腹腔内投与した。CD遺伝子導入のみ、または5-FC投与単独では腫瘍は経時的に増殖したが、CD導入/5-FC処理では、約3週間にわたる顕著な腫瘍増殖抑制効果を認めた(大竹ら、第56回日本癌学会総会、1997、論文投稿中)。従って、イムノジーンによる実験的遺伝子治療が、in vitro及びex vivoにおいて有効であることが明らかになった。現在、in vivoでのターゲッティング遺伝子治療について検討中である。 一方、B4G7抗体遺伝子のcDNAをクローニングし、人工一本鎖(scFv)抗体の酵母での発現系を作製した。現在、大量精製方法を検討中である。
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