1997 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショック蛋白(HSP)による難治性ぶどう膜網膜炎の発病機序の解明
Project/Area Number |
09671817
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
臼井 正彦 東京医科大学, 医学部, 教授 (40074570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 孝男 東京医科大学, 医学部, 講師 (40207105)
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Keywords | ベーチェット病 / 熱ショック蛋白質(HSP) / 自己抗体 |
Research Abstract |
ベーチェット病患者血清中の抗網膜自己抗体の一つは抗網膜HSP60抗体であり、自己抗原としての網膜HSP60について詳細を概に報告した(T.Tanaka,N.Yamakawa,H.Yamaguchi,A.A.Okada,Y.Konoeda,T.Ogawa,S.Kamiya,M.Usui.Common anntigenicity between Yersinia enterocolitica-derived Heat-shock protein(HSP)and the retina,and its role in uveitis.Ophthalmic Res.28,284-288,1996.).また患者は口腔内に再発するアフタや抜歯を契機に眼発作が起こるため、口腔内に常在する溶連菌が重要であると考えられてきた。そしてSangius溶連菌HSPに対して特異的なγ σT細胞が検出されたとの最近の報告もある。エルシニア、溶連菌、網膜芽細胞腫および網膜のHSP60に対する免疫応答を検討したところ、抗網膜HSP60ならびに抗溶連菌HSP60に対してベーチェット病では著しい抗体価の上昇を示した.また網膜HSP60をラットに接種すると平均12日目にぶどう膜炎が起り、組織学的に松果体炎を伴いにくい点はS抗原やIRBPによるEAUと相違した.更にその免疫応答を観察すると、接種した網膜HSP60に対して高い応答がみられ、同時に細菌性HSP60に対しても著しい交差反応が観察されるが、S抗原やIRBPとは反応しない特徴も確認され,その免疫現象について平成10年4月3日日本眼科学会総会,並びに平成10年7月1日オランダで開催される眼免疫眼病理国際会議にて報告を予定している.現在までベーチェット病ではHLA-B51が疾患感受性であるとの報告はある.一方,眼内の炎症はCD4陽性T細胞によると考えられているが,それを誘導するHLA classII・自己抗原ペプチド複合体の様子は,今まで自己抗原が確認されていなかったため明らかでない,ベーチェット病の自己抗原は網膜HSP60ではないかと考え発病機序の解明や治療法への応用を目的として研究を遂行中である.
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