1997 Fiscal Year Annual Research Report
神経芽腫と組織内活性酵素-増殖と悪性化における役割-
Project/Area Number |
09671836
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
里美 昭 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (50105912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷水 長丸 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (70197531)
薗田 勝 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90112648)
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Keywords | 神経芽腫 / 組織内活性酵素 / 増殖と悪性化 |
Research Abstract |
1.A/Jマウス(減菌資料、減菌水にて飼育)に継代培養したC1300マウス神経芽腫細胞(理化学研究所より提供)を1/10^5個、中村の方法に準じてマウス背部皮下に移植し、腫瘍移植モデルを作成した。移植後1,2,3,4週目に頚椎脱臼法にて各々10匹を虐殺、腫瘍組織を採取し、以下の測定を行った。 2.検討事項および測定方法:(1)細胞増殖、進展と腫瘍組織中活性酵素およびSOD活性の変動、(2)細胞周期と腫瘍組織中活性酵素および組織SOD活性の変動について検討した。組織中活性酵素および組織SOD活性は電子スピン共鳴装置:ESR:日本電子製RE-Xデーター解析装置と自記分光光度計:島津製作所製:UV2100-S、分光蛍光光度計:島津製作所製:RF500で測定した。(1)活性酵素は-80℃に冷凍した組織をPBN液の溶液のなかで解凍後、破砕し、ESRシグナルとして表現。(2)SOD活性の測定は組織をPBSで洗浄後ホモジネートし、遠心分離、上澄みをNTB還元法で測定した。細胞周期はFlow cytometry(FACScan)で細胞動態の解析を行った。 3.結果:腫瘍組織のPBN spin adductsのシグナル強度は2週目が最も高い値を示し、その後低下する傾向を示した。組織中SOD活性もPBN spin adductsに認められた変化と同様なパターンを示した。細胞周期は各週間で大きな変化はなかったが、SOD活性とPI(proliferation index)との間に負の相関傾向を認めた。増殖開始・増殖停止を左右するGl期の割合が多い腫瘍では、活性酵素消去作用を意味するSOD活性が高い傾向を示した。 腫瘍細胞のG1期の割合およびSOD活性の程度が、神経芽腫腫瘍の予後に関係している可能性が示唆された。平成10年度は、腫瘍増殖に伴う組織組成の変化の有無、および組織組成と細胞周期(特にG1)との関係を調べるなど、神経芽腫の悪性度をvegetative growthの面から検討する。
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