1998 Fiscal Year Annual Research Report
歯胚上皮の分化過程における細胞質シアリダーゼの役割
Project/Area Number |
09671845
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秋田 博敏 東北大学, 歯学部, 助手 (10108540)
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Keywords | 上皮性歯胚 / 細胞質シアリダーゼ / シアロ複合糖質 / レクチン組織化学 / 透過型電子顕微鏡 / ラット |
Research Abstract |
(研究目的)歯胚上皮の分化過程における細胞質シアリダーゼの役割を検討するため、本酵素量と細胞質のシアロ複合糖質量との相関性を明らかにする(研究期間:平成9年〜12年)。昨年度、シアロ複合糖質の組織化学的な検出にレクチンとしてSambucus nigraが本研究目的に合致すること、また、標識には金粒子を用いて、銀増感する方法が優れていることを光学顕微鏡レベルで明らかにした。そこで今年度は、同様の方法を透過型電子顕微鏡レベルで応用し、細胞質に局在すると予測されるシアロ複合糖質の検出が可能か否かを検討した。 (研究結果)試料にはラット歯胚(第一臼歯、胎生18日)を用い、化学固定し、脱水後、LRWhite resin包埋した。樹脂切片を脱包埋しないでそのまま染色に供しても、細胞質に分布するシアロ複合糖質を検出できた。染色条件では非特異な染色を少なくするため、ビオチン標識レクチンの濃度を1/10、直径1nm金粒子標識ストレプトアピジンの濃度を1/2〜1/3に、光学顕微鏡レベルと比べて低くする必要があった。また、内因性ビオチンによる非特異染色を除くための処理も必要であった。レクチンは、阻害糖存在下でも一般に約30%の分子が結合能をもつため、本研究の対照実験でも染色性が約1/2に低下するにとどまった。しかし、銀粒子数の実測値は、対照実験のそれを差し引いても、直径15nm金粒子標識レクチンで染色しただけの場合に比べ約3倍多かった。 (考察、結論)金粒子標識法と銀増感法が透過型電子顕微鏡レベルでも有効であることが判明した。本法が直径15nm金粒子標識レクチンで染色するよりも感度が高いのは、使用した金粒子が小さくて立体障害が少ないためと考えられる。昨年度の結果が直ちに電子顕微鏡に応用できる内容であったので、今年度は予定を1年繰り上げて、電子顕微鏡レベルでの検討をした。これで最終目的の酵素と基質の量的相関を検討する準備ができた。
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Research Products
(1 results)