1997 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄炎におけるパルブアルブミン及びカルシトニン遺伝子関連ペプチドの役割
Project/Area Number |
09671854
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
市川 博之 岡山大学, 歯学部, 助教授 (20193435)
|
Keywords | パルブアルブミン / カルビンディン / カルレチニン / S100 / 歯髄炎 / 三又神縫節 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
歯髄炎におけるカルシウム結合蛋白の役割を調べた。parvalbumin(PV)・calbindin D-28k(CB)・calretinin(CR)・S100を含む神経線維は、正常ラット臼歯歯髄に豊富に観察された。根部歯髄においては、PVとCBを含む線維は平滑で太く、CRとS100を含む線維は平滑なものと念珠状のものとが観察された。根部歯髄における神経線維の分布密度はS100>PV=CB>CRであった。これらの線維は根部歯髄内を上行し、髄室へと進入していた。PV,CR,S100を含む線維は、天蓋付近や髄角部における象牙芽細胞層直下で枝分かれし、それらの一部は象牙芽細胞層にも侵入していた。これらの象牙芽細胞層における神経線維はほとんど全て念珠状であった。象牙芽細胞層における神経線維の分布密度は、S100>PV>CRであった。CB線維は象牙芽細胞層には、全く認められなかった。象牙前質・象牙質ではS100線維が観察されたが、他のカルシウム結合蛋白を含む神経線維は全く認められなかった。 歯髄内におけるS100線維の微細構造を免疫電顕により調べると、根部歯髄におけるS100の免疫活性は全ての有髄線維と太い無髄線維に存在することが明かとなった。細い無髄線維はS100の免疫反応が陰性であった。象牙芽細胞層直下では、ほとんどのS100陽性線維は無髄であった。象牙芽細胞層における軸索終末は象牙芽細胞の細胞体や突起と接していた。また、象牙前質や象牙質でもS100陽性軸索終末が象牙芽細胞の突起と接しているのが観察された。 露髄5日後の炎症根部歯髄では、これらのカルシウム結合蛋白を含む線維の数は正常根部歯髄と比べ増加していた。これらの神経線維の継時的な変化については、現在研究中である。
|