1998 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄炎におけるパルブアルブミン及びカルシトニン遺伝子関連ペプチドの役割
Project/Area Number |
09671854
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
市川 博之 岡山大学, 歯学部, 助教授 (20193435)
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Keywords | カルシウム結合蛋白 / カルシトニン遺伝子関連ペプチド / 歯髄 / 三又神経節 / 免疫組織化学 / 痛み / 炎症 |
Research Abstract |
歯髄炎におけるカルシウム結合蛋白とカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の役割を調べるために、Parvalbumin(PV)・Calbindin D-28k(CB)・Calretinin(CR)・S100とCGRPの共存を、ラットの臼歯歯髄や歯髄を支配する三叉神経節細胞で調べた。根部歯髄においては、平滑で太い神経線維にこれらの物質が認められた。一方、念珠状の神経線維はCR-S100-CGRPのみを含んでいた。これらの線維は根部歯髄内を上行し、髄室へと進入していた。PV・CR・S100・CGRPを含む線維は、天蓋付近や髄角部における象牙芽細胞下層付近で枝分かれし、象牙芽細胞層において、ほとんど全て念珠状となり、それらの一部は象牙芽細胞層にも侵入していた。二重染色法により、一部の神経線維では、カルシウム結合蛋白とCGRPが共存することが明かとなった。歯髄における神経線維のうち、PV・CB・CRとCGRPが共存するものは非常にまれであったが、CGRPとS100が共存しているものは多数認められた。歯髄を支配する三叉神経節細胞の約20%では、S100とCGRPが共存していた。 露髄3・5・7日後の炎症歯髄では、炎症は歯髄内で継時的に拡大し、その最も表層においては組織の壊死像が観察された。この壊死組織の下層では、カルシウム結合蛋白やCGRPを含む線維が豊富に観察され、正常歯髄と比べ増加していた。炎症歯髄におけるこれらの神経線維は、さまざまな大きさのvaricosityを不規則な間隔で有しており、時に神経網を形成していた。これらの神経線維においては、S100・CRとCGRPとの共存がしばしば観察された。炎症歯髄におけるカルシウム結合蛋白とCGRPを含む神経線維の微細構造については、現在研究中である。
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