1999 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄炎におけるパルブアルブミン及びカルシトニン遺伝子関連ペプチドの役割
Project/Area Number |
09671854
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
市川 博之 岡山大学, 歯学部, 助教授 (20193435)
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Keywords | カルシウム結合蛋白 / カルシトニン遺伝子関連ペプチド / 歯髄 / パルブアルブミン / 免疫組織化学 / 痛み / 炎症 |
Research Abstract |
正常ラットの臼歯では、parvalbuminを含む線維が、根部歯髄や冠部歯髄に観察された。parvalbumin陽性線維は、太くて平滑な形態を呈しており、象牙芽細胞層の直下にまで認められ,時には象牙芽細胞層に侵入していたが,象牙前質や象牙質には全く観察されなかった。免疫電顕により、根部歯髄におけるparvalbumin陽性線維は,太い有髄線維であことが明らかとなった。さらに象牙芽細胞層では,parvalbumin陽性神経線維が、象牙芽細胞の細胞体や、突起に隣接していた。これらの神経線維と象牙芽細胞との間に特殊な接着様式は観察されなかった.露髄後,1-3日後の歯髄では,parvalbuminを含む神経線維がほとんど認められなかった.しかし,露髄5-7日後においては,parvalbumin線維は著明に増加し,炎症組織直下で神経網を形成していた.これらのparvalbumin線維の多くはvaricose状を呈していた.露髄後14日では,炎症が歯髄全体に波及していた.この時期,parvalbumin線維は露髄後5-7日と比較して漸次減少し,根部歯髄にのみ観察されるようになった.露髄後30-60日では,根管内及び根尖周囲に膿瘍が形成されていた.parvalbumin線維はこれらの組織内或いは周囲に認められなかった.二重染色の結果,露髄後の歯髄においても正常歯髄と同様,CGRPとparvalbuminが共存しないことが明らかとなった.また,露髄後5-7日におけるCGRP線維の動態はparvalbumin線維のそれと非常によく似ており,炎症組織直下で神経網を形成していた.しかし,露髄後30-60日における膿瘍の周囲にはCGRP線維が密に観察された.以上の結果から,CGRPと同様に,parvabuminは歯髄炎において重要な役割を演じている事が示唆された。
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