1998 Fiscal Year Annual Research Report
顎運動を制御する神経回路網の研究、特に免疫組織化学と分子組織化学を用いた研究
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09671856
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Research Institution | KANAGAWA DENTAL |
Principal Investigator |
高橋 理 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (70163243)
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Keywords | 三叉神経運動核 / 神経回路 / 神経伝達物質 / ラット |
Research Abstract |
中枢神経系の主要な興奮性伝達物質であるグルタミン酸の脳内分布については、従来おもにその合成酵素であるflutaminaseを免疫組織科学的に同定することにより解析が進められてきた。本研究はグルタミン酸に対するポリクロナール子抗体を用いて、三叉神経運核と三叉神経感覚群におけるグルタミン作動性の神経細胞体と神経週末を同時に検出し解析することを目的とした。 実験には雌Wistar系ラットを用いた。実験動物を2.0%パラホルムアルデヒドと0.25%グルタールアルデヒドの混合溶液にて潅流固定を施した後に、脳幹部の凍結連続切片を作製し、免疫組織化学的にグルタミン酸様免疫活性を示す神経細胞体と神経終末についてそれぞれFITCを用いて標識し、蛍光顕微鏡下に観察した。 実験の結果、グルタミン酸免疫陽性の神経線維と終末は、解剖学的に定義される三叉神経運動核の周囲の小細胞性網様体には少数が観察されるものの、同核内においては運動ニューロンの細胞体と近位樹状突起に接してごく少数しか認められなかった。これに対してグルタミン酸免疫陽性の神経細胞体は三叉神経主感覚核に多数、三叉神経脊髄路核の吻側、亜核背内側部と腹外側部に少数、そして同中位亜核に多数が観察された。これら三叉神経感覚核群の内側に接する橋・延髄の小細胞性網様体には免疫陽性の神経細胞体と神経線維が多数観察された。 これらの結果より、従来報告されてきた、三叉神経運動核に対するグルタミン酸作動性の前運動ニューロンは、三叉神経運動ニューロンの細胞体や近位樹状突起というよりはむしろ、同核内において遠位樹状突起上に上にシナプス結合する事が示唆された。今後、この部位において免疫電顕を用いたシナプスの構造解析が重要と考えられる
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Research Products
(1 results)